我が青春の歌、「私鉄沿線」
野口五郎のディナーショー?
よく学術講演会で出向く我が家からほど近いホテル、その日も高血圧症の講演会があり、そのホテルへ出向きました。すると......、エントランスの脇に2012年の7月某日、野口五郎のディナーショーが開催されるとのポスターが貼られていました。僕は彼の熱烈なファンと云う訳ではありませんが、好きな曲「私鉄沿線」は必ず歌うだろうと思いました。そして彼の生の声でその曲を聴いてみたいとの衝動に駆られました。チケットは1枚○万円、結構な金額です。ちょっと小遣いに余裕のない今はかなり辛い、当日はそのまま講演会を聴いて帰りました。帰宅後女房に一緒に行こうと誘いをかけましたが、ものの見事にふられました。彼女は洋楽派、サンタナやローリング・ストーンズ、エリック・クラプトンは聴いても、日本の歌謡曲には興味は全くありません。むしろ最近は韓流ドラマにはまっているみたい.....。
しかしそれからしばらくして悶々としたまま半分諦めかけていましたが、やはり聴きたい! 女房が好きなローリング・ストーンズの後楽園ライブには僕はつき合ったのに(女房は友達からもらったミック・ジャガーの直筆サイン入り、しかも更に直筆で女房の名前にLOVEと書いてあるTシャツを持っています).......、何となくムッとしているうちに日が経ちました。結局ついに突然思い立って、いざとなればクリニックのスタッフにでもつき合ってもらおうと考え、女房に合意を得ないまま鬱病の学術講演会でまたそのホテルに出向いた時に二人分のチケットを買ってきました。チケットを買った数日後、チケットを買って来たからつき合えよ! と強引に誘うと今度は渋々了承を得ました。市の検診で結構忙しい日々を送る中の束の間の休息、うだるような暑い7月のある日、夕方から久々の女房とのこぶ付きではないデートになりました。
ディナーショー当日.......、
僕が最初に誘った頃にチケットを買っておけばもっと前の席が確保出来たのに.....、もうだいぶ遅かったので着席でのコースディナーの会場ではステージからだいぶ後ろに離れた席でしたが、良い雰囲気のまま野口五郎のステージが始まりました。甘い生活、君が美しすぎて などの曲から始まり、途中で面白いトークショーも入り、ステージは盛り上がって行きました。僕よりももっと歳上の女性ファンの声援が凄い、ちょっとたじろいでしまうような雰囲気すらありました。そして......、ステージで彼曰く、今や駅の伝言板はなくなり、皆はメールでやりとりするようになったしまったと嘆いていましたが、そんな前置きに続いて我が青春の歌、「私鉄沿線」が披露されました。
女房はあの歌を聴いて何を想う?
前奏が始まるとこの曲だとすぐに判りました。しかし、ずいぶん前奏がスローテンポ、あいにく僕が聴きたかった曲はスローバラード風にアレンジされ、普段iPodで聴いているオリジナルとはずいぶん雰囲気の違った曲になってしまいました。そんな青春を思い返す中、ずっとステージに見入っている女房の横顔を僕は眺めていました。彼女も青春時代に帰っていたのか? 僕ほどの想いをこの曲に持っているのだろうか? 何をやっても楽しかったあの頃に彼女も戻っていたのだろうか? 子供の事で悩む事もなかった二人っきりだったあの頃をどう思い返しているのだろうか? 改札口でよく待ち合わせた(女房は遅刻の常習だった!)あの頃を未だに覚えているのだろうか? そんなことを考えていました。もちろん医学生であった僕は勉強も少しはしましたが、それよりは麻雀をしたり、女房と一緒にディスコへ踊りに行く遊びの時間の方がよほど永かったはず、当時は今の自分の生活や仕事は予想していたものの、50歳を過ぎた自分の姿を想像することはありませんでした。でもこの女と一緒になって良かった、それは今でも確信を持てます。楽しい時間はあっという間に流れて行きました。
ステージの開演中は撮影、録音、録画禁止、もちろん僕もそのルールを守りました。だから残念ながらステージの写真はありませんが、僅かな時間、女房と二人っきりで楽しんで来ました。コースディナーはそれほどのボリュームはありませんでしたが、何故かお腹一杯になりました。そしてフリードリンクの場内では昔懐かしいカナディアン・ウィスキーを数えてみれば4杯、最近は殆ど飲まなくなったのに.......。
そして翌朝…….、
翌日の朝、女房は僕に「昨日はごちそうさま。」と云って来ました。サンタナの曲を歌ったのが嬉しかった? 僕とはやはり視点が違うようですが、僕自身も大いに楽しめました。やはりプロの声量は凄い! そして僕よりも1歳歳上の野口五郎は僕よりはるかに若く見える、そう! 思い出しました、偶然南麻布のカフェのトイレの中で僕は野口五郎とすれ違ったことがあるのです。軽く会釈をする僕に彼も軽い会釈を返してくれました。今から15年くらい前の話し、結局後に結婚された彼女と来られていたようです。未だ今の奥様との噂も出て来る前の話し、もし芸能雑誌にチクっていたら、だいぶ話題になったのではないでしょうか? 今でも時々聴くこの曲は、僕のiPodのTOP25に入っています。