店に入り、席が準備出来るまでここで少し待ちます。少し時間がかかるときは食前酒が出てくるのですが、今日は比較的早い時刻、殆ど待たされることなくダイニングに向かいました。階段を昇る途中、高価な調度品がたくさんあります。これを見るだけでも結構時間が潰せそう。
「ゴメン、個室が取れなかったんだよ。」そうこのドクターがおっしゃいます。イイエ、知らない人と並んで大きなカウンターに座り、喧噪の中で食べる鉄板焼ステーキ、これこそ醍醐味です。私は寂しい個室よりこの20人以上座れる大きなカウンターの方が好きです。
まず席に座ると一口で食べられる小さな料理がスッと出てきます。こう云う料理をアミューズ(恐らくは楽しみと云う意味?)と呼ぶようです。本日は小海老のカクテル、こんな小さな料理にもきちんと下ごしらえが施されています。一口で入っていまいますが、これでますます食欲が。
今日の前菜はシマアジのサラダ仕立て。新鮮なお刺身には歯ごたえがあります。少し何かに漬け込んで味が滲みているよう、供されるお皿も綺麗で可愛らしい感じです。何となく量は多くなく、食べ始めるとすぐになくなってしまいます。でもそれが良いところなのかも。
コースではなくアラカルトでオーダー、この方がだいぶ高くつくと思うんですけれど......。そしてこの舌ビラメは予めドクターがオーダーしてあったようです。「これが旨いんだよ!」そうおっしゃいますが、僕はこの店で舌ビラメを食べたことがありません。
豪快に鉄板でジャーッと焼きます。形を崩さないのが難しそう、そして話を聞くうちにびっくり。この料理を出来るのはこの店に数多くいる焼き手のうち数名しかいない? この料理が出来る人と予め頼んでおかないとダメなんだそうです。何がそう難しいの?
舌ビラメが焼けるうちにスープが出てきました。ハマグリのクリームスープ、クリームスープにしては意外にさっぱりした味付けの中にハマグリのコクと旨みが滲み出てきます。ちょっと量が少ないのが寂しいながらも、多分たっぷりあるとうんざりしてしまうのでしょう。
さて、何故舌ビラメの料理が難しいのかの種明かしはこの写真、そう舌ビラメの形を崩さないまま背骨も崩さずに抜き取るのです。ステーキ用のヘラを使ってサッサっと綺麗に骨が抜けました。そして何とこの骨はパリパリに焼いて、ウナギの骨みたいに食べられるのです。旨い!!
さて興奮醒めやらぬうちに本日のお肉に。そう、僕のオーダーで今日はテンダーロインになりました。もうサーロインは辛い......、本当は焼き加減はウェルダンと行きたいところなのですが、今日はシェフに任せることになりました。「一番美味しい焼き加減で。」と云う注文に。
お肉が焼ける間にソテーしたグリーンアスパラガスが出てきました。これもただ塩味だけで、素材の味そのものを楽しみます。もちろん、マヨネーズなんかはつけません。極太のアスパラガスは歯ごたえしゃっきり、なかなかのボリュームです。
さてそろそろお肉が焼き上がってきました。見るところやはりミディアム・レアと云ったところでしょうか? 廻りはしっかり焼けていながら中は未だピンク色、しかしこれでもちゃんと火は通っているのです。決して中が冷たい訳ではありません。そしてこれから一口大にカット。
初めはソースを付けずにお肉そのものの味を楽しみます。柔らかい。そしてワサビのソース、生醤油のソースをそれそれ用意してくれます。もちろん私の好きなガーリックチップもついています。奥に見える葉っぱはワサビの葉っぱ。茎から時々かじっていくとさっぱりします。
結局2人でシャブリを2本空けてしまいました。決して僕はワイン通ではありませんが、このシャブリは大好物、女房と食事に行くときも結局この銘柄をオーダーすることが多いものです。結構な勢いで飲んでしまったので、そこそこ良い気分に。
〆はもちろん僕の大好きなガーリックライス、この店のものはもの凄くさっぱりしていて、しつこくありません。と云うのも油を殆ど使わず、ガーリックの風味をつけます。お椀は岩海苔の味噌汁、しかし今日は残念ながら僕の好きなゴボウの漬け物は出ませんでした。