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結婚式場での学術講演会

  •  2016年7月のある土曜日、都心のホテルで糖尿病の学術講演会がありました。このホテル、実は30年以上前に僕が結婚式を挙げたホテル、しかも講演会場は僕の結婚式の広間そのものでした。事前の案内状でその情報をつかんで出向いたため、何となくおかしな気分でした。まぁ、今でも女房に逃げられる事なく、昨年は結婚30周年のプレゼントも渡しました。あいにく女房同伴ではありませんが、そんな勉強会をレポートします。

 僕の父は他界し、母も認知症で息子の顔も分からなくなったので書いてしまいましょう。この結婚式場のホテル、実は親父が女と密会を重ねていた処らしい…、だから母はここで僕に結婚式を挙げさせたくなかったようです。それは母から直接聞きました。当時、結婚式の準備に僕は衣装合わせのために事前に1回だけ行ったのみ、それ以外は休みの日も、休む時間もなく研修医としてコマネズミのように働いていました。それも今では信じられないくらいの安い給料で。だからもちろん結婚式の状況は今でもかなり鮮明に覚えていますが、あまり思入れや特別な感情を持つホテルではありません。むしろ今は他のホテルのバーやレストランに行く事が多く、まるで親父の披露宴だったような結婚式と思っています。しかも引き出物の九谷焼(女房は金沢出身)の約4割が梱包ミスで割れていたという、とんでもない船出の式、しかし取りあえず3人の子供が出来、30年以上に渡ってやってきました。女房共々、お互い苦労の連続ではありましたが……。

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ちょっと新宿で買い物、その後丸ノ内線で赤坂見附まで来ました。敢えてホテルの名前は出しませんが、知っている人は知っているこのホテル、以前はたまに来ていたのですが、ここ10年くらい来ていないかな? メンバーズカードは持っていますが、結局今はポイント0、また強いて一生懸命ポイントを貯めようとは思っていません。今日はそれほど暑くもなく、雨も止みました。

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このホテル内には僕の好きなポリネシアンRestrant&Barがあります。未だ30歳代、40歳代の時は良く行ったのですが、最近はトンとご無沙汰、まずここまで出てくる気力がありません。そうだ! 数年前にセールでこのホテルに来た事があったっけ? その時はレストランもバーも寄らず、直行直帰。僕の好きなほうれん草風味のボンゴボンゴスープ、未だあるのだろうか?

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このホテルのメインバー、午前1時までやっているって♪ 結局今日の帰りに寄ることになります。実は結婚式の当日、親父の披露宴である僕の式には二次会が用意されていませんでした。医師会の重鎮達は披露宴の後そのまま帰り、若い人だけが集まる二次会をここを借り切って急遽開く事になりました。しかし…、土曜の夜に良く急遽貸し切りに出来たね? 親父の力?

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本日の学術講演開始まで今だ小一時間、今日は少し早めに来ましたから、アーケードをのんびり観て歩く時間がありました。グリーンのクロコダイルのベルト、カッコいいのがありましたが、今は小遣いが殆どないので我慢、我慢。割引もないこのアーケードではなかなか買い物をする気になりません。でも欲しくなるような逸品はたくさん、8万円のネクタイは買えません…(><)

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僕は先ほど書いたように衣装合わせに一度来たきりです。それも何も贅沢を言わずに、言われたものを着ました。しかし女房は僕の母と何回もこの貸衣装ブティックに来たみたい、ずいぶんいろいろ吟味していたようです。その頃、僕は先輩に怒鳴られ、手術の返り血を散々浴びて、そして夜は大学病院に残るかアルバイトで他の救急病院の夜間当直へ。1年間365日中192日泊まりでした。

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別館の1階のアーケード街、そして本館地下1階のアーケード街の目ぼしい処を殆ど観て歩きました。思えば以前、この1階のアーケード街に臨時で設置された画廊で前から欲しかった’ブルードッグ’のシルクスクリーン画を衝動買いしてしまったことがあります。男が成功する絵? 僕には恩恵があったのだろうか? 今その絵はクリニックの待合室に飾ってあります。欲しいと言う患者さんがいます。

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さて、学術講演開始25分前に会場入りしました。うわ〜! 広いなぁ? 後の発表で聴講者は300名以上? これでは後のビュッフェは混雑して、思うものが食べられないだろうな? いつもはせいぜい30人くらいの規模、今日はもう23年の歴史を持つ研究会なのです。それもこの研究会の役目は充分に果たしたと言う事で今日が最終回とのこと、スポンサーが手を引くだけの事じゃないの?

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通路を挟んだ真ん中の一番前に陣取りました。ホテルのスタッフに尋ねました。「西側は前ですか? 後ろですか?」って。スタッフは『何でそんなこと聞くの?」と言うような顔をしていたので、すぐにこう言いました。実は僕の31年前の結婚式が西の間だったのですよ。そちらに座りたいから。」と話したらニヤッと笑って納得した様子でした。この通路の後ろ側が西だそうです。

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20年くらい前、娘が未だ幼稚園くらいの時にこの広間の外側の通路を女房と3人で歩いていた時、「この扉の裏側が父さんと母さんの結婚式場なんだよ。」と話したら娘が中を見たいと言い出しました。通りがかったホテルスタッフにちょっとだけ扉を開けて娘に中を覗かせてくれないか? と頼んだら何と! 大きな衝立を全部開け、更に会場のライトを全部点けて見せてくれました。そして彼が最後に一言、「お嬢様の結婚式も是非当ホテルで。」 さすがです!!

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今日は糖尿病の学術講演会、この研究会が立ち上がった23年前の糖尿病の治療薬と言えば、スルフォニルウレア剤とビグアナイド、そして注射用インスリンしかなかったのです。その後αーグルコシダーゼ阻害剤、チアゾリヂン、BBP-4阻害剤、そして更にSGLT2阻害剤が出て、糖尿病の治療薬はこの10年でものすごく進化しました。そして充分なコントロールが出来るようになり、更に特定検診で糖尿病予備軍の人のケアが出来るようになりました。しかし糖尿病は増え続けています。

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今日の学術講演会は日本医師会生涯教育認定講座、これを受講するとポイントがもらえるのです。そう、僕ら医師は年間に決まったポイントを取得して、これだけ勉強をしましたと言う申告をしなければならないのです。なかなか厳しいでしょう? だけど、勉強しないと今の日進月歩の医学の進歩に知識が追いついて行かないのです。きっと死ぬまで勉強しますよ。

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今日は僕の親しいドクターの講演もありました。彼の講演は年に5-6回くらい聴いています。彼の話しっぷりは実に歯切れよく、如何にして聴く人を引き込むかまでもが充分に考慮された、聴いていてワクワクするような話になります。そして糖尿病の治療薬の進化とともに、彼の話はリアルタイムに進化します。30分の講演があっという間に終わってしまいます。

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その後の退屈な偉い先生の話も終わり(退屈で少し寝ちゃいました…)、合計2時間の講演も終わり、この会場から聴講者が出て行きます。この座席数で半分、まさにこちら側が西の間で、ここが僕の結婚式場だった所です。一体何組のカップルを見送って行ったのだろう? そして何組が別かれたのだろう? 取りあえず当家は未だに大丈夫です。

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さて、重い鞄をクロークに預けて、情報交換の場へ移動します。かつては懇親会と呼ばれていましたが、僕ら医師や薬剤師達が製薬メーカーから接待を受ける事に対する非難を避けるため、今はこんなまどろっこしい言い方をします。内容は何ら変わっていないのに。かなりの人数、まぁ、あまり思いっきり食べる事は出来ないだろうと思いつつ、僕も会場へ移動します。

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かなり歩いて別の広間に移動、ビュッフェが用意されていました。今日のランチは新宿での買い物の前に油そば、時間が遅かったのでものすごく空腹という訳ではなかったのですが、普通に一食は入りそう、真ん中にメインディッシュが並び、両側にお寿司やおそば、天ぷらなどを供してくれるテーブルが二つずつ並びます。お寿司にはもうかなり長い列が出来ています。

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そろそろ情報交換の場が始まります。通例、指名された偉い先生が一言挨拶、それではご相伴ください、乾杯! の挨拶で飲み物を飲み干し、それで食事に手を付けるGo signが出ます。それまでお腹が空いていても食べ物に手を付けるのは御法度、だけど今日の偉い先生の話は長い...(><) 個人的な事ではありますが…、まで始まってしまい、お預けの時間が長引きます。

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このホテルにはガーデンがあります。昔は武家屋敷だった? 青くライトアップされ、池にかかる赤い橋のコントラストが絶妙です。このガーデンにカウンターのステーキハウスがあり、20年前くらいはクリニックのスタッフ全員を連れて振る舞ったこともありましたが、今はそんな余裕は全くなくなりました。確実に医療費抑制は進んでいます。診療報酬数%up? 嘘です!

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ようやく乾杯の挨拶が終わり、各自テーブルの食事に手を付けます。僕が目を付けたのはこのチキン、艶と言い、色具合と言い、ものすごく美味しそう。しかしこれだけの人数、少しずつしか取りません。やはり人の事も考えなきゃ、ビュッフェは少しずつ多くの種類を取るのがマナー、しかしそんなマナーが分かっていない奴が時々います。お気に入りをごっそり持って行く奴……。

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同じ地区医師会の先生がいらっしゃいました。彼は内科で糖尿病は専門領域、僕は外科、泌尿器から皮膚科までの何でも屋、やはりハンデはあります。そして先ほど講演をした親しいドクターとも一言二言話しました。彼こそ純粋な糖尿病専門医、今日の講演の中では糖尿病専門医と一般医と処方内容がどのように違うかなどのアンケートの調査結果も発表されました。

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中華料理の焼きそばがなかなか美味しかったです。そう、このホテルの中華料理はなかなか美味しいのです。僕の結婚式も中華料理でしたが、それを決めたのは僕ではなく、女房でもなく、僕の親父。そう僕の披露宴ではなく、親父が自分の友人に披露する宴ですから……、真ん中にあるテーブルの食材は早い時間になくなってしまいました。そう、食事ではなく情報交換をする場ですから。

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この人数です。取りあえず餌を確保しても、そのお皿を載せて一息つけるテーブルのスペースがない…、恐らくスポンサーが考えた以上の人数が集まったのではないでしょうか? 最近は医師だけではなく薬剤師も多いのです。いつぞや、ホテルの学術講演会にTシャツ、短パン、ゴム草履で来た薬剤師がいて、我慢し切れずに文句を言ってしまった事があります。僕の大学はGパン禁止でした。

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お寿司はあまりにも並んでいるので諦めました。そう、せっかくこのホテルに来たのだから、このホテルならではの料理が食べたい、お寿司なら他にも美味しい処はいくらでもあるのだから。That grape must be sour! の気分で諦めました。その代わり5分程並んでこのローストビーフをいただきました。一人ずつ切り分けてソースとマッシュボテトを添えて渡してくれます。

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恐らくはベテランの専門のシェフが吟味した素材を充分に気を遣いながらじっくり焼き上げてくれたローストビーフ、美味しくないはずがありません。ちょっとボリュームが僕には物足りないところですが、少し厚く切ってください と頼めばそうしてくれるのでしょうか? 丸めてしまえば二口くらいで入ってしまうような量、しかし味は間違いなく絶品です。でももう一度並ぶのはいいや

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そのローストビーフの列に並んでいる間、カレーのテーブルには人がいませんでした。並んだまま一皿もらいました。野菜カレー、ビーフカレー、シーフードカレー、チキンカレーの4種類があり、一つを選びます。僕はチキンをチョイス、バター風味に仕上がっていますがちょっとスパイシー、これもすぐに食べ尽くしてしまう量、しかしこのホテルでカレーを食べるとは思いませんでした。

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最後の〆、しばし話し込んでいた担当のMRが取って来てくれました。天ぷらの盛り合わせ。せっかくのなので天つゆは使わず、手前の塩をつけて天ぷらそのものの味を楽しみます。そういえば最近行きつけの天ぷら屋さんに行かなくなった、もう数年行っていません。天ぷらは目、舌、そして耳(揚げるときの音)をも楽しませてくれる料理なのです。ご馳走様でした。

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さらっとビュッフェでご馳走になり、30分程で会場を出て来ました。そこそこ腹八分目くらい、糖尿病の講演の後はそれくらいが良いでしょう。普段ビュッフェで酒を飲まない僕も、今日はスコッチの水割を一杯だけ飲みました。そう、講演会の前からここに来る事に決めてあったのです。メインバー、僕の結婚式の二次会の場所です。カウンターに座りました。

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もちろん、頼むのはラフロイグ。しかし元々普段からあまり飲まないところ、最近は島地勝彦さんの影響を受けて、オンザロックではなく、ソーダで割るようになったのです。島地先生曰く、自分のバーに来てくれる客を食道がんにしたくない、だからサロン・ド・シマジではオンザロックやストレートで出さないのです。ましてやシガーを供する手前。今日はラフロイグを2杯、つまみにナッツ。

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今このバーでお薦めの夏のカクテルだそうです。モヒート系が多いよう、写真を見ていても如何にも涼しげです。仕事とは言え、こんなカクテルを試行錯誤しながら創作するのは楽しそう。しかし売れなければ話にならないので、もっとシビアな現実があるのでしょうね? でも4種類とも1杯2500円! なかなか良い値段です。僕のスタッフ連れて来て奢ったらあっという間に2万円!?

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女性ピアニストによる生演奏も始まりました、良い雰囲気、リクエストも受け付けてくれるようです。そう、昔は一人でもこんなホテルのバーに飲みに来たのに、最近はすっかりご無沙汰でした。まずこんな風に都心に出てくる心の余裕がなかったかも知れない。今更この歳でキャバクラへ行こうとは思いませんが、こんなホテルのバーにはたまには来るべきだと改めて思いました。

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そして最後に先ほどのお薦めのカクテルメニューから、グレープのモヒートをお願いして、これを最後にする事にしました。巨峰とミントの味のコンビネーションが何とも絶妙、なかなか美味しいです。2本のストローで吸いますが、あっという間になくなってしまいました。久しぶりのこのホテル、ウィンドウショッピングして、昔の広間とバーを見て、楽しい夕暮れを過ごせました。