フィレンツェの空港、Baggage Claimで荷物を受け取って歩き始めたところ、突然私服の男が寄ってきました。未だ30歳代? 明らかに僕より若い奴でしたが、背は僕よりだいぶ高い男でした。何やら僕に話しかけて来ますが、取りあえず`Poli〜ce`だけ聞こえました。向こうもわかりにくい英語、こっちもあまり自信のない英語、どうやら金をたくさん持っていないか? と云うことを尋ねたかったようです。どうも話が通じないところでイヤな顔をしたその私服のお巡りが僕に壁の方へ来いと云うような仕草をします。でかいトローリーを引きずりながら壁の方に行くと張り紙がしてあり、その中に日本語の説明文もありました。結局100万円以上の現金を持ち込むことを禁止する旨、法律上の説明でした。確かに買い物も考えているのでそこそこの金額は持っていましたが、さすがに100万円は超えません。しかも100万円以上は日本から持ち出せないことも僕は知っています。しかしこれだけ大勢の乗客がいる中でわざわざ狙い撃ちをしたように僕が目をつけられたことに非常に腹が立ちました。隅っこに連れて行かれるとフィリピン流に「チップを出せ!」などと云われそうで警戒を強めながら、しかし収まらない腹の虫を吐き出しました。

I don`t have such a money.I know that!But why me!?  Such so many passengers,Why me!? Did you look me strange? You found the Orient?
You are truly police?  So why you are not in Uniform?

この後、自分が何を言ったかよく覚えていないのですが、要は

 「そんな金は持っていないよ! そんなルールは良く知っているよ!!  だけどこれだけ大勢の乗客がいるのに何で僕を選んだんだ? 何か僕が怪しく見えたのかい? それとも僕が東洋人だからか? まず第一あんたは本当にお巡りかい? 何でお巡りなのに制服じゃなくて私服なんだよ? 胸からID吊しているだけでお巡りだと云う証明になるのかい?」

わざと声を荒げて、周りに聞こえるようにがなり立ててやりました。不思議なものです、こんな時は日本語でものを考えず、英語が勝手に口から出てくるような状態でした。だから文法もなっていないひどいBroken Englishだったと思うのですが、そのお巡りの英語もろくなものではありませんでした。しかも僕はサングラスをかけていたので、ひときわ羞恥心は消えていました。こちらが大声で話し終わると、お巡りも面倒だと思ったのか、トランクを開けさせることはもちろん、ボディチェックをすることもなく「もう行っていいよ。」と云うそぶりをしました。そいつを睨み付けながらその場を立ち去りました。本当に不愉快でした。イタリアに着いて早々、早速イヤな思いをしました。確かに乗客は西欧人が殆ど、中には中国人らしき団体もいましたが、国籍も判りにくい東洋人をいぶかしげに思ったのですかね?(日焼けしていてサングラスをしていると僕はフィリピン人に見えるそうです。フィリピンの現地人からそう云われたことがあります。) 今回はむしろ強気に出たのが功を奏しました。フィリピンではたまにそんなことがありましたが、久しぶりのヨーロッパに着いて早々と云うこともあって僕もエキサイトしてしまいました。もっぱら領地を広げるために人を殺してきた人種(戦国時代の日本も、ネイティブ・アメリカンから土地をぶん取った今のアメリカ人もそうですが)、イエロー・モンキーを締め上げるくらいのこと、屁でもないのではないでしょうか? 結局この後もそんな見下される東洋人を経験することになるのです。この1件が、せっかくの旅行の楽しみをだいぶspoilすることになります。