第6日目、 ボローニャにて最終日、今日はただ日本に帰るだけの日です。大いに楽しんできました。こんなひとときをくれた愛車に感謝! もしこの車を買っていなければ、こんな時間を過ごすことは出来なかったはずです。そして友人達とも楽しく過ごすことが出来ました。ツアーメンバーはこれからバスに乗ってミラノへ、もう1泊するのだそうです。ミラノも楽しそう、でも僕は……、今日は日曜日、明日からゴールデン・ウィーク明けの仕事です。恐らくサボった分のしわ寄せが来るでしょう。スタッフ達も充分に鋭気を養ってこれから頑張ってくれるはず、朝食を摂って、そのままボローニャの空港へ向かいます。
昨夜はビールをグラスに2杯くらい、大して飲んでいません。それほど遅くまで友達と騒いだわけではありませんが、朝はそれほど爽快な目覚めではありませんでした。今までとは違う? もう仕事のプレッシャーがかかっているのでしょうか? ホテルのダイニングに行くとメンバーはまばら、もうみんな食事は終わっているようです。
トースト、パン、サラダ、卵料理、軽い肉料理、相変わらず変わり栄えのしない朝食、連れもなく一人で寂しく食べました。普段の旅行では朝食ビュッフェが楽しみで、どれにしようかと悩むのも嬉しかったものですが、イタリアでの朝食は一通り自分の食べられるものを選ぶと、それ以外の選択肢はないと云うのが現状です。
ロビーのソファの前にはランボルギーニの写真が飾られていました。町全体がランボルギーニで成り立っていると聞いたことがあります。このホテルも本社に社用で出向く人専用なのでしょう。でも誇りに出来るカンパニー?
そう思うとちょっと寂しくなります。ツアーのみんなはこれからバスに乗ってミラノへ行くのだそうです。その途中、フルッチォ・ランボルギーニ氏のお墓に寄って、お墓参りをするんだって。きっと社長も自社の成長を喜んでいる?
友達と別れを惜しみ、バスは出て行きました。またツーリングでお会いしましょう、気をつけて! 僕はタクシーを呼んでもらい、これからボローニャ空港へ向かいます。後はパリ経由で10数時間後には現実の世界へ。非日常から日常に引き戻されます。
フィレンツェ、ボローニャ、楽しかったです。別にローマもナポリも行かなくて良い、でもベネチアとミラノは行きたい。今度一人でこの2都市を廻ってみようかな? イタリア旅行も少し勝手が分かったような気がしています。でも東洋人に対する見下した態度と食事がちょっとイヤでした。
タクシーが来ました。黒塗りのアウディにドライバーは格好いい女性、しかし「ボローニャの空港まで。」と話しかけた以外は会話はありませんでした。料金は思いの外安く、着いたときにドライバーに払ってくれとのことでした。空港まで30分くらいの道程。
結局バスでボローニャ・サンタアガタ間を2.5往復、25-30kmくらいありそうですが、その二つの街と空港との位置関係が把握できていません。送迎で1万円以上取られるのではないかと思っていましたが、その予想の半額以下、でもあまり見慣れない道を通っていきます。
ドライバーは女性だけど、何処かに連れ込まれて、拳銃突きつけられて、有り金を全部持って行かれる? そんな悪いこともちょっと想像しましたが、どうやら飛行場らしき雰囲気になってきました。後の楽しみはパリの空港のDFSで買い物? でも正直なろころ、今回は結構買い物に使いました。
無事に空港に到着、革ジャンとサングラスのボーイッシュな女性ドライバーにホテルで云われた金額に少しチップを上乗せして渡しました。「グラッツェ!」 この時だけ、サンクラス越しに笑顔は見えましたが、何となく冷たげ、イエロー・モンキー くらいに思われていたのでしょうか?
結局僕の被害妄想気質も影響してか? いつも見下されているような気分を引きずっていました。やはりフィレンツェの空港での1件、あれがこの旅行に暗い影を落とし続けたのは確かです。空港のエントランスを入った処にはピッカピカののシルバーのカウンタックが。
生ハムを買って行っても税関で取り上げかな? ソーセージなどを売るミート・ショップがありましたが、また不愉快な思いをするのが嫌で、結局何も買いませんでした。でも今回の旅行では、シャツと靴で自分へのプレゼントはごっそりです。もちろん家族、クリニックのスタッフや友人にも。
こんなサービスがあるのです。1000円くらいの金額で、大きなトランクにビニールを巻いてくれるのです。空港で荷物を預けると、荷物はどんな扱いを受けるか想像がつきます。以前のトランクはぶつけられて完全にへこんでいました。それにこうしていると成田の税関で開けないで素通り?
ドゥカティが飾ってありました。ハーレーも良いけれどドゥカティも良いな? でもイタリア警察がドゥカティではなくBMWのバイクに乗るって事は何か不都合があるのだろう、そう考えました。ドゥカティにはディアベルと云う格好良いバイクがあります。
フェラーリショップもありました。残念ながら中は撮影禁止、店内には入ってみましたが、まぁこの後に及んでフェラーリグッズを買うつもりはない、またフェラーリに乗ることがあれば、グッズを揃えましょう。さて、ほどなく搭乗です。また2時間ほどのフライト、パリを目指します。
それほど待つことなく、パリ行きの飛行機に乗ります。機材は今度はエアバス、エールフランスですが、僕はコードシェアのアリタリアで乗ります。エールフランスで予約を取ると結構高いのです。ローマ直行便はなかなか取りにくい、しかしフィレンツェへ移動することを考えれば、今回のプランは正解でした。
やはり僕は東南アジアの方が良いです。近いし、直行で行けるし、物価は安いし、人々はにこやかだし、食事は口に合っているし。結局これらのことで、本当に旅行中は難渋しました。実は! もう夏休みの旅行は行く先が決まっています。フィリピンのスービックに初めて行きます。もう既にマイレージで飛行機は確保してあります。
ビジネス席も何となくちんけ、どうせ2時間なのだからエコノミーでも良かったけれど、大した金額の差はないのです。両方金額を提示されましたが、「それならビジネスを。」と云う程度の差額、イタリア語、フランス語、英語のアナウンスは僕の耳には殆ど伝わりません。
さて、定刻に離陸しました。ツアーのみんなはミラノに向かうバスの中だろう? ユーロスターで1時間半以上かかるのだから、バスでは結構な時間がかかるんだろうなぁ? 眼下にはボローニャの畑が広がります。ブドウ畑? 小麦? はたまたオリーブ? もう当分イタリアンはいいや……。
機内食も出てきました。サーモンにカチカチのフランスパン? パスタだけ食べて後は殆ど食べませんでした。パリの空港で何か食べよう、そう思いました。やっぱ食事はタイかインドネシアだな? あ〜、タイスキ食べたい! それと日本に帰ったら米だな!
またアルプス上空に差し掛かりました。あいにく雲が多くて、雪の山々はあまり見えません。地上からは壮大な景色も見えないんだろうな? やはり旅行は天気に左右されるもの。でも今回はフィレンツェ、ボローニャで少しずつ降りましたが、実質的な被害はなし。
退屈していて、ふと隣を見ると……、ありゃ? 創立50周年のブルゾン、昨日僕も買った奴です。`Are you a Lamborghini`s owner?`僕が尋ねるとにこやかに`Year!`との返事。`Me too!`と云うところから話が始まりました。ガヤルドを持つパリ在住の方だそうです。
どうやら僕よりもう少し年下の人みたい、車を運ぶのは部下に任せて、自分は飛行機でサッと帰るとのことでした。でも車でパリまで走ってもそれほど遠くないんだそうな。車の話、仕事の話、家族の話、結局パリに着くまでしゃべりっぱなしでした。やはり同じ車のオーナー同士、気が合います。
話が絶えないまま飛行機は高度を下げ、やがてパリのシャルル・ドゴール空港に着陸しました。彼とはメールアドレスを交換、別かれることになりました。恐らく1-2時間後には自宅? 僕はまだまだこれから永いフライトがあります。まぁ、あいにく再会することはないでしょうが……。
パリ、シャルル・ドゴール空港はこの周辺のハブ空港、広大な空港に多数の滑走路があるようです。日本は羽田から成田に空港が移り、今度は今更のように羽田に発着便を増加させようとひっちゃ気です。そして韓国にハブ空港の座を奪われました。大騒ぎした成田闘争は一体何だったの?
今度は一度来たことのあるターミナル、バスで別のターミナルに移動します。何故かフランス人の飛行場スタッフに`Nice shoes!`と僕の靴を褒められました。日本製、履き慣れた大塚製靴の歩きやすい革靴だったのですが、どうして? 彼らはそんな旅行者のファッションまで気にするのでしょうか? そんな高級な靴を履いていた訳ではないのですが。
一度荷物をpick upして、台車に乗せて荷物を運びます。イタリアでの買い物を睨んで、往きはトランクの中は割とすかすかの状態にしておきました。しかし帰りはもうこれ以上入らないくらいパンパンです。そう、フェレンツェで買ったグリーンの靴、これの箱が結構でかい、でも箱を是非とも持って帰りたかったのです。
往きは次のターミナルに行くのにずいぶん右往左往しました。尋ねる度に違う答え、参りました。ちょっと時間がかかりすぎて、少し焦った場面もありました。でも帰りは乗るべきバスのナンバーもすぐに見つけ、迷うことなくターミナル間の移動は済ませることが出来ました。初めて来る空港はやはり気を遣います。歩いては到底行けない距離です。
バスで日本航空の発着するターミナルへ。トランジットは約4時間、荷物を持ったままなので結構気疲れします。なるべく早めにチェックインしてDFSを見て歩くつもりです。でも買い物は少しやり過ぎたので、恐らくウィンドウ・ショッピングで終わってしまいそう、来月のクレジットの請求が恐ろしくもあります。
何か不穏な動き、何番から何番までのエリアから出ていくようにとのアナウンスがありました。すごい自動小銃を抱えた軍人がかなりの数出てきました。テープを張って完全に通行を遮断します。テロ? 一瞬ドキッとしましたがそれにしては、テープまでは立ち入り自由。
きっとVIPが来たのかな? と思いました。軍であればフランス軍よりアメリカ軍の方がよほどすごい装備を持っていると思うのですが、やはり間近で見るとすごい……、身体はでかく如何にも強そう。ちょっと物々しい雰囲気になってきました。
別に僕にとってはここを遮断されても関係なさそう、だけど15分程で規制は解除されました。やはりフランス国内の要人が空港に入ったのでしょう。やがて何もなかったかのように平穏な状態に戻りました。未だ時間を持て余すようで退屈、ちょっとスナックがてら座ることにしました。
食事をするところはそこそこありました。比較的空いているところに陣取り、ターキーのサンドウィッチをオーダー。野菜がだいぶ入っていて、バルサミコ酢で味付けしてあります。ターキーってサッパリしているけれど、何となくパサパサしています。もうパンは当分いいや、やはり米がいい!
ようやくチェックイン、結構時間を持て余し、退屈しました。かと云って荷物も引きずっているし、置き引きに持って行かれちゃ適わないし、少し張り詰めていて疲れました。結局空港内のDuty Freeではウィスキーとスタッフ用のお菓子くらいしか買いませんでした。お土産は買い尽くしました。
もうチェックイン間近、イタリアを堪能しました。フィレンツェは良かった、そしてランボルギーニ本社は本当に来た甲斐がありました。今度はフェラーリを買ってフェラーリ工場に行く? 患者さんには申し訳ないけれど、やはり強引に休みを取って良かった、一生に一度のチャンスを生かせました。
飛行機は定刻に出発、一路成田に向かいます。恐らくは爆睡状態で、気付いた頃には日本上空? ツアーの友人達は今頃ミラノをほっつき歩いているのでしょうか? まぁ恐らくヨーロッパに来るのは当分先だろうけれど、取り立ててもの凄く行きたい処があるわけではありません。
愛車はまだ当分可愛がってあげようと思います。こんな遠くから来たんだ? 改めてご苦労様と云ってあげたくなりました。イタリアのデザイン力、凄いと思います。女性に対する情熱と併せて尊敬すべき気質なのか? 歳をとるに連れ衰えていく情熱にちょっと刺激を受けた旅行でした。