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フィリピン最後の秘境 エルニドへ  2016年夏

死に場所探し エルニドへ

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 何故か心引かれるフィリピン、この10年でいろいろな処へ行きました。マニラは元よりダバオ、セブ、セブ島の外れオスロブ、プエルト・ガレラ、ボラカイ島、スービック…、でも5年以上前からいずれは行きたいと考えていたフィリピン最後の秘境と言われる処がありました。フィリピンの西部パラワン島のエルニド! だけど日本人にとって行き難い! 遠い……、1島1リゾートへの脆弱なアクセスはちょっとした天候不順でも飛行機や船が欠航となり、そうなっても予約時の前払い金(全額を事前に支払い)は帰って来ない? マニラのツーリストに相談したところ、「日本人の行く処ではない!」なんて言われました。それにここ数年イスラム国の活動が盛んになり何となく危なげ、数年前にパラワン島でヨットでのクルージングをしていたドイツ人が拉致されて殺されました。昨年9月には僕がかつて行ったことのあるダバオのリゾートが襲撃され、外国人数人が拉致され、日本人女性が辛うじて船から飛び降りて難を逃れたことも日本で報道されました。確かに危ないかも…、だけど何とか行きたい、あの青い海を実際に観てみたい、もしかしたら今回がラストチャンス? そう考えて思い切って行って来ました。

ElNido index-2.JPG 今年の夏もお盆の翌週をクリニックの夏期休暇とし、土曜日の午前中は平常通り診療を行い、夕方の便で日本を脱出しました。夏休みだけが僕にとって唯一1週間以上休める時、それ以外ではなかなか5日を超える休みは取れません。しかし東南アジアの8月は台風シーズン、脆弱な交通手段の上に立てた計画はそれこそ何となく危なげ、しかも孤島の宿、当初からちょっと緊張感はありました。大型ジェット機が飛ぶセブ島や時間がかかっても陸路スービックに行く気軽さとは縁遠いものでした。旅行の計画をするにもツーリストを選ぶのに苦労しました。しかし何とか頑張って、今回も日曜日に帰ってくる8泊9日の長旅、思いっきり堪能してきました。
 ここしばらく`死に場所探し`と言う言葉は使いませんでした。やはりプエルト・ガレラやボラカイ島のように物価、特に食費が高いところはダメ、このエルニドの物価はどうなのか? 今回宿泊するホテルはAll Inclussive、つまり宿泊費の中に3食の食事、アクティビティと称するオプショナル・ツアーの代金も全て含まれる、現地に着いてからはあまりCashの要らない旅になります。その前に行くエルニド・タウンでの物価にも多いに興味がありました。リゾートはたくさんあるにしても、地元の人々が暮らす街には素朴な生活があるのではないかと予測しました。

ElNido index-3.JPG 万が一飛行機が欠航になっても、海が荒れていて島のリゾートに行けなくても、返って来ない前払い金をなるべく被害僅少にするように、まずはマニラからエルニドに入っても最初の2泊はあまり宿泊費の高くないパラワン島のホテルに泊まる事にしました。マニラから飛行機が飛ばなくても、この宿泊費を不意にするだけで済むように計画しました。まさか3日間全ての飛行機が欠航になる事はないだろうと考えていました。僅か40人乗りの小さな会社のプロペラ機は2時間ほどの遅延はあったものの、取り敢えず予定の日にエルニド空港には着きました。でもお天気は良くない……、恐らくはそのホテルの目の前の海も青く綺麗であろうところ、鉛色の空と波で砂を巻き上げられた海は決して素晴らしいものではありませんでした。しかしその2泊の間にエルニド・タウンを観て歩きました。泊まったホテルはそのエルニドからトライシクルで25分、決して近いとは言えませんでしたが、その下町は素朴で物価も安く、のんびりとした漁村には非常に好感を持ちました。レンタルバイクを借りて宿泊したホテルとの間も往復、更にそれほど広くはないその街をバイクで走りながら観て廻りました。

ElNido index-4.JPG そして4日目、未だ朝から豪雨にも見舞われ非常に不安に思っていたところ、島のリゾートにボートで向かいました。島のリゾートへの送迎は船、その送迎のミーティング・ポイントはエルニド空港でした。飛行機でたった今到着したゲストも、僕のようにエルニド・タウンに宿泊してから島のリゾートへ向かうゲストも、指定の時刻にエルニド空港へ来るように指示されていました。エルニド・タウンは漁港の街であり、船はしょっちゅう出入りしています。僕はてっきり空港から陸路エルニド・タウンの港に向かい、そこから船に乗って45分、島のリゾートへ行くものと勝手に思い込んでいました。ところが空港の裏にあった川の桟橋(そこに川があることすら気付いていなかった)の上でいきなりライフベストと雨合羽を着させられ、10人も乗れないような小さなパワーボートで雨の中、荒れた海の中、バウンドするようにボートは島のリゾートへ向かって吹っ飛んで行きました。それもゲストにわざとスリルを感じさせるかのようなフル・スロットルで。45分かかると聞いていた船旅は25分に短縮、そしてあまり天気のよくない中、目的地の島のリゾートに到着しました。

ElNido index-5.JPG そのリゾートのある島とは、エルニドのミニロック島、他にも立派なリゾートがある島が候補としていくつかありましたが、僕がどうしても観たかったのはそのミニロック島にあるビッグ・ラグーンとスモール・ラグーンと呼ばれる入り江、インターネットで見たその海は正に僕が行きたかったエメラルド・グリーンの、そして原始的な景色、ここを外す訳にはどうしても行きませんでした。ミニロック島に着いて翌日、午前中はアクティビティのバンカー・ボートで、そして午後は自分でカヤックを漕いで二度そのラグーンに行きました。本当に生きていて良かった! と思うような景色、殆ど曇りか雨が降るような天気だった今回の旅行の中で唯一この日だけは真っ青な空が広がりました。まるで僕を歓迎してくれるかのように。普段持ち歩くiPhoneと別に持って行った防水のデジカメと、更に新調した防水の4Kで動画が撮影出来るカメラをフルに使って写真を撮りまくってきました。写真の枚数は静止画、動画と合わせて1600枚超え、3年前に行ったフィレンツェ、ボローニャの2000枚に次ぐ枚数でした。 

ElNido index-6.JPG そしてそのミニロック島のリゾートは3食付き、3食全てがビュッフェで、全てが美味しいものでした。エルニド・タウンではなかなかありつけなかった生野菜が豊富にあり、その3食全てでチキン、ポーク、ビーフ、そして魚を始めとして烏賊や海老、蟹などのシーフードも、そしてフルーツも食べ放題でした。少し意識してセーブしないと体重が心配になりそうなくらい、そして最大で140名までしか宿泊出来ない小さなリゾートに働くスタッフは充分過ぎる程の人数、アクティビティのセッティングをしてくれる女性スタッフからウェイターがいて、バーテンダーがいて、アクティビティのガイド役がいて、その誰もが生き生きとし、仕事を楽しんでやっていると言う姿に好感を持ちました。親しくなったスタッフから聞きましたが、彼らはもちろんこの島のスタッフ用宿舎に住み込み、月に1回、4日間の休暇を取って島を離れるものの、それ以外は休日は殆どなく働くようです。でも彼らは決して疲れた顔を見せません。仕事に疲れて鬱病になるような閉塞感漂う何処かの国とは全く違う印象を持ちました。

ElNido index-7.JPG そして後半は島のリゾートでのんびりしたり、はたまたスネーク・アイランドと言う島と島の間を歩いて行き来出来るような、ちょっと変わった景色を観てきました。今迄のセブ島やボラカイ島とはちょっと違う、だけど大いに楽しみ、リラックス出来る旅になりました。こんなリゾート地では時に来る土砂降りもまた一興、旅行が台無しになるほど天気が悪かった訳ではなく、陽が照り過ぎて暑くなるよりは朝夕は少しひんやりするような気候がむしろ心地良かったと考えています。正直なところ、今回は少し慎重になり過ぎてActiveさに欠けたかも、むしろ何とかこちらに来てしまえばアグレッシブに遊びに出た方が此処での過ごし方として相応しいと考えました。イスラム国の活動は気になるところだけれど、親しくなったリゾートのスタッフからは「此処は大丈夫だよ!」と言う話しも聴きました。そう、またそう遠くない将来、もう少し身構えることなく、気軽にもう一度来よう、そんな風に思わせる旅でした。


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