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医師合格率8割切る低率(医師国家試験)


 4月21日にこのページを書いていますが、本日の新聞に医師国家試験の結果についての記事がありました。平均合格率79.1%......。ありゃま~、と云う感じです。今年は歯科医師国家試験の合格率も悪かったようだし、何かありそうですね。つい先だって、歯科医師国家試験問題の漏洩が話題になりました。これで合格ラインを締め付けたんじゃないでしょうかって私は勘ぐっています。ガセネタも結構多いんですが、昔から国家試験の問題はいろいろと情報が流れてくるんです。だって当然でしょう? 我々に講義をして教えてくれた先生達が国家試験の問題を作るんですから。誰だって自分の教え子が不合格になるのを喜ぶはずがないじゃないですか? 各大学の国家試験対策委員の学生達が、出題する教授を一生懸命突っつきます。そしてポロッと教授の口から出てきた情報が全国レベルの連絡網に乗って配信されるわけです。この程度のことですから、ガセネタも当然混ざってきますし、偶然他の先生の出題とピッタリ合致してしまうことだってあるでしょう。ごく一部の学生だけに情報が漏れるわけではないんですから、目くじらをたてる必要ないじゃないですか? そんなことにブツブツ云っている人に是非お尋ねしたいと思います。そんなに他人を不合格にしたいですか? 人の不幸がそんなに面白いですか? そんなことが医療過誤に直結しますか? 
 私の母校の大学は88.9%、私立ではNo.3ですからまあまあでしょうか? 確か昨年は100%だったんですよ。でもよく何%だから良くないとか云いますが、合格率が下がるのは毎回同じ人間が繰り返し不合格になって、それが段々貯まってきて全体の数字を下げて行くんです。新卒だけで数えれば、全国で88.6%とまあまあの数字です。全体の合格率が下がった理由について厚生省から「丸暗記ではなく、応用力を問う良問が増えたことで、出来る人と出来ない人の差がついたのかも知れない。」と云うコメントが出ていますが、私はこれに大いに意義あり!  良問が増えたんなら合格率が下がるわきゃね~だろ! 奇問、難問が増えたから合格率が下がったに決まってんじゃね~か! 良問に正解出来ないほど医学生は馬鹿か? 当たり前のことですよ。これでは医学生全体を応用力がないと言い切っているのと同じです。医者が増えすぎたんで、ここで調整しているんじゃないか? と勘ぐりたくなります。まず第一に、専門科目にも分かれていない医学生に、なんで応用力を問う必要があるんですか? 基礎をミッチリ勉強して、研修しながら応用力を養っていけばいいんです。研修医に応用力を発揮された日にゃ、患者さんはたまったもんじゃありません。私の時代にはまずメジャーと云われる内科、外科、産婦人科、小児科、公衆衛生の5教科に、毎回前もって発表されたマイナー教科(泌尿器科、皮膚科、眼科、耳鼻科、精神科、整形外科、麻酔科)から2教科で試験が行われましたが、今の医学生は可哀想です。マイナー全科が対象になっています。範囲が広がるというのは大変なんです。例えば内科認定医試験。内科と云っても範囲が広く、内科の中で循環器、呼吸器、消化器、血液、神経、内分泌・代謝、と数多くの科目全てに合格点を取らなければならないんです。認定医試験を受ける頃には、もうその医者は専門分野に没頭していますから、大学の講師クラスの先生でも試験に落ちることが多いそうです。その点、私の時代の外科認定医は割と楽でした。口頭試問では「分からない質問だったら下を向いていれば大丈夫だよ。ただし試験官には逆らうな。」とアドバイスをいただきました。
 私も勿論、今から16年前にこの試験を受けました。実は私自身国家試験の出来は悪かったんです。本当は大学卒業と同時に、女房との結婚式の話をどんどん進める予定だったんですが、試験があまり出来なかったので、話を進めるのは国家試験の発表まで待ってくれと云うことになったんです。まあ結局は合格していたんですが、発表の日まで眠れない夜が続きました。当時私は世田谷に住んでいましたので、国家試験のための住所を世田谷で登録しました。当時合否は新聞に掲載されましたので、自分自身も家族もこの新聞記事で合否を見るのです。私の父の医師会仲間はその年私が国家試験を受けるのを知っていましたので、注目していたようです。しかし○○市の新聞には、23区の住人の結果は掲載されません。つまり私の名前が新聞に載っていないので、皆さん心配したようです。電話をかけて聞くわけにもいかないし......、みんな心配していたんだよと後で聞きました。まあ実際のところ、医学部を卒業して医師免許を取れないとどうしようもないんです。法学部を卒業して司法試験に合格しないのとは訳が違います。今年の合格率79.1%ということは、1800人くらいの国試浪人がいる計算になりますね。どうやらそういう人たちは予備校に行くらしいのですが、これがまた月謝がすごい高いらしいです。しかも私の年まで医師国家試験は年に2回あったんですが、翌年から年1回になってしまいました。辛い1年になりそうですね。
 実は一昨日、こんなことがありました。医師免許をとる上で診断書が必要なので書いて欲しいと若き医師(の卵)が私の診療所に来られました。新卒の医学生と云うことで親近感がわき、いろいろと話しました。「国家試験はどうでした?」と云う私の質問に対して「結構難しかったんですよ。」との返事。「麻薬や覚醒剤はやっていませんね。」と云うことを確認して、診断書を作成しました。実は彼、とある公立病院で研修が始まるとのこと。「じゃあ、私の診療所の紹介患者さんをもし受け持ったら宜しくね。」と云うことで診断書料はサービスすることにしました。当初彼は喜んで帰ったのですが、5分としないうちにまた診療所に戻ってきました。彼曰く「診断書料をサービスしていただいて、お気持ちは嬉しいんですが、僕は公務員になるわけですから.....。」と。ああ、そうか! 私が彼に特別なはからいをすると贈収賄になっちゃう訳ですよ。これは気付きませんでした。やむなく、彼から診断書料をいただきました。公務員って大変ですね。絶えずこんなことを考えていなければならないですね。勿論私もただただ宜しくねと云うだけで、特別変な気持ちを持っていた訳ではないんですが......。彼は非常に合格率の高かった大学の卒業でしたから、きっと大丈夫でしょう。頑張ってください。でも研修医って大変だよ~!