歯科医師国家試験問題漏洩
今、歯科医師国家試験問題漏洩が新聞で騒がれています。私もかつてのGrumble、”医師合格率8割切る低率”で、自分の教え子にちょろっと問題をばらしてしまうのはしょうがないじゃないかと書きましたが、今回の件はちょっと様子が違います。今回の件は私もまずいと思います。担当した教授は平謝りのようですが、こう大きく報道されては、何らかのペナルティが下るのはまず間違いないでしょう。
まずいと思う理由その1、
今回某大学教授がばらしたのは、他の先生が出そうとしていた問題なんだそうです。「ばらすんなら、自分の出題にしろよ!」と思います。だってそうでしょう?自分が出した問題についてとことん責任を持ってほしいからです。恐らくその問題を国家試験用に考え出した先生は面白くないと思いますよ。こんなことがあると、そのうち出題した先生には厳しい箝口令が敷かれ、国家試験当日まで話をしてはいけないとか、一緒に酒を飲んではいけないとか云うことになりそうです。下手すると、医師国家試験まで業者が作成するなんてことにならないでしょうか?まさか、問題が偶然一致しただけで、自分は知らないと云い通そうと思ったわけではないでしょうけれど。
まずいと思う理由その2、
私がGrumble、”医師合格率8割切る低率”の中で話したのは、その漏洩が全国レベルの情報網に乗ることを、その出題した先生が知っていたから良しと考えたわけです。今回の件では、恐らくこの某大学の学生だけが、「あれ!? この間の問題と同じだ。」と云うことになってしまうでしょう。つまり自分の大学の生徒だけに加担したことになってしまいます。これはやはり不公平ですよね。実は、私の中学時代の英語の期末試験にそんなことがありました。当時、私の英語担当の先生は非常に厳しい人で、バシバシ生徒をぶん殴る先生でした。英語の授業もなかなか厳しく、出来ない生徒にはとことんたたき込んで教える、放課後でも出来ない生徒は残され(模擬テストで何点以下は放課後残れと指示されました)、補習を受けなければなりませんでした。この先生、熱心なあまり生徒に嫌われていましたが、私は好きでした。英語の中間テストや期末テストの定期テストは、1学年教える先生は違っても同じ問題が出ることになっていました。ある時の定期試験の問題の中に、直前にその厳しい先生から出された模擬テストと全く同じ内容の問題が含まれていることがあったんです。だから勿論、私は楽勝です。当然他のクラスでその模擬テストを受けていない奴らからはブーイングが出ました。私も得はしましたが、ブーイングは当然だなあと思っていました。やはりばらすんなら、みんなに公平にしないとね。もともと私は中学時代は後と違い、数学よりも英語の方が得意でした。でも、放課後の補習は自分から手を挙げて出席したことが何回かありました。なんか置いて行かれそうな不安もあったものですから。その厳しい英語の先生のお陰か、私のクラスは全般的に学年の中では成績が悪い方だったのですが、英語だけはなかなか優秀な成績でした。
だんだんと世間の目が厳しくなって、こんなファジーなことがどんどん減ってきそうです。前にも書きましたが、国家試験の漏洩なんてのは以前からあったはずです。まあ、がせネタとごっちゃになって、結局プラスマイナス0になってしまうんですけれどね。それなら初めっから何も云わない方が良いのでしょうか? 世知辛い世の中になってきますね。みんなそうですね。今でこそ交通違反のもみ消しが大問題になって来てしまいましたが、これも昔からあったんでしょう? (ああ、あと1年捕まらなければゴールドになるんだけど.......。)ただ、これを告発した奴が国家試験浪人の学生と云うのは何となく気に喰わないですね。まあ自分が一度落っこちた試験だから恨みを込めてなんてことであるならば、歯科医師でもやはり人の治療をする職業に将来つくことを考えると、「大丈夫?」と聞きたくなってしまいます。もともと合格して当然の試験なんですから(とは云ったものの、私もギリギリだったはずですけれどね)。それに今回の某大学の試験は別にしても、情報と云うものは努力して集めるものですからね。あなた方も文句ばかりでなく、集める努力をして下さいよ。現代は情報を制覇した者が勝者になるんです。おそらくこんな大きな報道になると、各大学の国家試験対策委員会は仕事が減ってしまうでしょうね。医者の仕事も厳しくなるばかりですね。
実は!ここまでは私にとっては大した愚痴ではないんですよ(ここで終わろうと思っていたのですが)。まあ学生を可愛いと思った先生に魔がさしたと考えていたのですが(更に云えば運も悪かった)。私なんざ看護学校の講義では良い点をとってもらいたいために、定期試験の問題を試験前の授業であらいざらい話しています。教える人間にとっては、教えた人間に良い成績をとってもらいたいものなんです。人にものを教えればこの気持ちは分かるはずです。自分の教え子に良い点数をとらせたくなかったら、教える仕事に就かなければ良いんです。
電車の中でロシアの潜水艦が航行不能になったのは米国潜水艦と激突?との記事が出ているのを他人の新聞から盗み見て、これを読みたくて普段買わないスポーツ新聞を買いました。その中にやはり”不正発覚の歯科医師国家試験”として記事が出ていました。この記事を見て無性に腹が立ちました。この教授が不正を働いた理由について学生可愛さ故と出ています。私はこの言葉を信じます! しかしこの記事ではその理由について”いかにもウソ臭い”、”おそらくカネをとってあちこちバラまいたのだろう”と書いてあります。”ウソ臭い”とか”だろう”と云うのは勝手にこの記者が思い込んでいるだけです。思うのは勝手だけれど、記事に私情を書き込むなよ! この馬鹿記者は自らの名前を記事の末尾に書いていますが、こんな憶測で一個人がやった”下衆の勘ぐり”が公共の活字となる事に、本当に、本当に! 腹が立ちます!!お前は裁判官か?! おそらくこれを書いたのは下っ端記者だろうけれど、本来ならこんな書き方は良識ある編集長が訂正をさせるはずです。そんなCheck機構も全く機能していないんですね。ペンは剣よりも強し。マスコミはペンと云うどんな人間をも傷つける可能性のある、極めて殺傷力の強い武器を持っているんです。使い方を誤れば、このペンは凶器そのものです。私も普段は決して買うことのない新聞ですが、一個人がこんな憶測をメディアに載せて私物化しているのは、言論、報道の自由とはほど遠いものです。もしこの教授がカネをとっていなかったら、お前はどう責任をとるんだよ! こんな出任せにいつしか尾ひれが付いて、いつの間にかカネを受け取ったことに仕立て上げられちゃうんですよね。間違った報道をしても、マスコミは決して明確な謝罪をしません。衝撃的なタイトルに引かれ、そのメディアを手に取ってしまう我々も反省すべきですが、この無責任な奴らが自分の持つ武器の威力に対してあまりにも無関心すぎます。この教授がしたことに対して怒りを覚えるのは理解できますが、だからと云ってこいつらに憶測でこれ以上この教授が傷を負わされる筋合いはないと思います。この教授には多分社会的な制裁が下ってしまうでしょう。しかし、少なくともこの教授は三流メディアの下っ端記者よりははるかに世に貢献し、業績を積んできたはずです。皆さんはどう思われますか? 今のマスメディアは”報道の自由”を盾にあまりにも暴走しすぎていると思いませんか? せいぜいこいつらの良心をかいま見ることが出来るのは、身代金目的の誘拐事件の時だけです。奴らが云う報道の自由の前には、個人のプライバシーも基本的人権すらも踏みにじられます。(神戸の殺人事件では、少年にも関わらず、勝手なマスメディアの判断で顔写真が公開されました。また、かつて私の子供の運動会に行きましたが、引退した三浦百恵さんを狙ってマスコミが大勢来て、本当に可哀想でした。ほっといてやれよ!)
皆さんに是非訴えたいと思います。たかが数百題の医師国家試験や歯科医師国家試験などではその人間に資格を取らせてよいのかどうかを判断出来る訳がありません。成績優秀でも医師、歯科医師にふさわしくない人間はいくらでもいるはずです。だからこそ今、大学入学のレベルで医師にふさわしい人間かどうかを判断する方法が模索されています。更に!試験というものは水物です。落ちるはずのない人がミスってしまうこともあります。本当にこのメディアが(と云うより一個人の記者が)云うような”汚い不正行為でつくられるインチキ歯科医師”が困るのであれば、インターン制度を復活し、永い時間をかけて判断するしかないはずです。そのかわり、医師にふさわしくないと判断された人間にも進むべき道を準備するべきです。私に云わせてもらうならば、医大や歯科大学を卒業した時点で医師に、歯科医師になってよいと判断が下されたと思って良いのではないでしょうか? 最高学府たる大学にはそれくらいの裁量権があって良いはずです。医師や歯科医師になり得ない人間であれば、大学に入学できないか、あるいは卒業できないはずです。人を殺す可能性のある車の運転ですら、公認を受けた教習所なら実地試験免除です。更に運転免許の取得のための国家試験を行えば交通事故が減りますか? 何故か我々医師や歯科医師は卑屈な人間から漠然とした恨みを買います。おそらくこの新聞記事もそんな卑屈な恨みの延長線上にあるのではないでしょうか? 本当にこの記事に腹が立ちました。俺こそお前に「バカヤロー」と云ってやりたいよ! ううう、血圧が上がってきたぜ......。