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続・診療報酬値下げ

 昨日、新聞に小泉内閣が診療報酬の値下げを確定した旨の記事が載り、今日は早速医師会の反発が記事になっていました。私は”それもやむなし”と書きましたが、やっぱり我々の代表である日本医師会は「はい、それで結構です。」といかないのは当然でしょう。厚生労働省が老人医療費の伸びを抑制する伸び率管理制度の導入を打ち出していることに”がんばって診療を行うほどペナルティが課される集団罰則的な制度で、憲法違反の疑いが濃厚”とのことです。ははぁ、憲法違反ですか? それはいけませんね。でもこれは税率の高い日本ではもともとそのような構造になっているんですよね。頑張って仕事をして稼ぎが多くなると税金と云う罰金が対数的に増えて、仕事もしないで遊んでいると保護と云う名目でご褒美のお金がもらえるんですから。ホントに困っている人を助けるためのシステムが、どれだけホントに困っている人を助けているのか? 私は大いに疑問です。確かに医師会の云うように患者負担増は財源問題を家計に移転したに過ぎないと云うのも充分納得できる話しですよね。私が懸念するのは、負担増による受診抑制なんです。ちょっとした風邪くらいではお医者さんに行くのはよそうとなるのがまずいと思っています。日本歯科医師会や日本薬剤師会も同じ歩調で抗議しています。その一方で健康保険連合会、つまり診療報酬を払う側は全く逆の意見を述べています。当然と云えば当然ですが。経済低迷が続く当面1~2年間は伸び率をゼロとし、各医療機関ごとに目標額を設定しろって云っているんですが、それは言い過ぎじゃねぇか? では来院する患者をこっちが選んで良いの? 時間外は絶対に患者さんを診ません、2週間に1回の定期通院以外に風邪をひいても、お腹が痛くても診ませんよ、ってことになりますよ、これは。その方がこちらとしても楽だけれどね。そもそも何処でどうなるか分からない医療費に目標値を設定しろってことが所詮無理なんです。キャバクラの指名を取るのとは訳が違いますよ。更に日本医師会は「引き下げは医師や看護婦の給与カットにつながる」、「人件費の削減が結果的に患者への医療サービスの低下を招く」と云っています。こうなるといつも決まって「医は仁術」や「赤ひげ」の話が持ち出されるのが常です。結局こんなところで暗躍するのが、厚生労働省の幹部に申し入れをすると云う医師会寄りの政治家。でも郵政省よりはましだろ?
 実は医師会推薦の国会議員てのもいるんですよね。郵政省のような汚いことはしませんが、医師会でこの人はこのような考え方でやってくれると説明したり、或いは後援会の署名を取ったり、結構入れ込んでやっていました。しかしその人は医療とは全く違う仕事に忙殺され(どんな仕事か書いちゃうとその人が特定されてしまうので、敢えてここには書きません)、この大事な時期に医療法改正の仕事が出来ないと云う理由から、医師会や歯科医師会の会員がこの議員の講演会をボイコットして出席しないと云う事態であることを聞いています。わざとそんな仕事が出来ないように仕組まれた? とも同情的な考えに私はなっていますが。前にもホームページの何処かに書いたことがありますが、映画の中で「政治は汚ね~よなぁ~。」って台詞がありましたが、正にそれを地で行っているような話ではないでしょうか? 未だ私が学生だった頃の日本医師会は政治にも通じる巨大な力を持っていました。敢えてここではお名前(故人)はお出ししませんが、自らのポケットマネーで政治家を手なずけ、医師会に有利な取り計らいをさせたと云う噂は聞いています。まあそれが真の姿ではないでしょうけれど、今では国民のことを考えない官僚達の天国となり、息巻いて飛び込んでいった大臣ですらシカトされるご時世、まあこのままでは日本は良くならないよと私は諦めの境地に立っていますが、そんな勢力に対抗できない議員を選ぶ国民に一番責任があると云うのは、私の以前からの持論です。日本が悪くなったのは、結局有名だからと1票を投じる世間大衆の責任以外のなにものでもありません。医療・福祉の充実を切実に訴えていた人が知事選挙で次点になれば、医療・福祉が充実しなくなるのは当たり前のことです。それ以外のもっと欲しいものを大衆が欲したと解釈せざるを得ないでしょう。夜遊び結構、真夜中に家へ電車で帰れればそれも結構だと思います。
 これから医療費緊縮のための大手術が行われます。それも期限付きで。先日日本医師会から医療法改悪に反対する署名を集めるように仰せつかり、私の診療所でも200人以上の署名をいただきました。また別の連合会から署名を集めるように書類が届いています。ずいぶんすごいことが書いてあります。改革案では、サラリーマンの負担3割、健保家族の入院負担3割、高齢者の負担1~2割、健康保険料のアップ、6ヶ月超の入院は自己負担、風邪薬、ビタミン剤、漢方薬は自己負担となっています。そして社会保障の国庫支出は対GDP比でアメリカ4.8%、フランス6.1%、ドイツ7.4%、イギリス12.4%に対して日本は3.4%と先進国中最低と書いてあります。ま~た署名を集めなきゃ.......。これがまともに全部通っちゃうと、お金がないから医療を受けられないと云う結果になりますね。そうすると、それは医者のせいだってことにきっとなるんでしょうね。実はそろそろ息子にも医者になるかならないか決めさせなくては行けない時期、私としては”医者になってもろくなもんじゃねぇぞ”って云いたくなってきています。あとたったの4ヶ月、もう時間は殆どありませんね。一体どうなることやら。私個人としては受診抑制のかかる患者の自己負担増だけはなんとか邪魔してやりたいと考えていますが、私一人の力ではどうもなりませんね。皆さんも是非自分自身のことと捕らえて考えてもらいたく思います。