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就職難とフリーター


 本日の新聞にフリーターが増加しつつあることが書いてありました。高卒の3人に1人、大卒の4人に1人が定職につかず、フリーターになっており、少子化と相まって、労働力の減少に繋がることを労働省が懸念しているとありました。決して就職難だけがフリーターの増加をもたらしているわけではないようです。時に団塊の世代が60代前半にかかる2010年頃、このまま進めば労働力の減少が深刻になるとのことです。困ったものですね。この記事には現代の若者達が、長続きしない、飽きっぽいなどとかなり批判的に書かれていますが、果たしてそれが事実でしょうか? 私は考えます。それだけ、定職に就くことが魅力的でなくなっているのではないかと。

 確かに終身雇用は崩壊しつつあります。一生懸命勉強して、名の売れた一流企業に就職しても、自分のやりたい仕事に就けなかったり、ましてや今やそんな一流企業に尽くしてきた人達が会社の存続のため、リストラの名目の元に首を切られている状態です。かつてと違って豊かになってきた日本社会では、そんな無理をしてまで就職しなくても、少し遊びがてらのんびり過ごしてもいいんじゃないかと考える若者が増えても不思議ではないような気がします。一流大学を出て一流企業に就職と云う、いわゆるエリートコースと云うのも今や過去の産物になってきたのではないでしょうか? アメリカでは今やそのようなエリート集団は、大樹の陰には集まらず、自ら起業する人達が増えてきているとのことです。今の日本のフリーターが全て起業に向かうとは到底思えませんが、中にはそんな夢を持って充電している人もいるのではないでしょうか?一方的に若い人達を批判する新聞の編集の仕方にも疑問を持ちます。イヤならすぐに辞めてしまうと云う逃げの精神は何も若い人に限ったことではありません。

 私の診療所でも、時々受付スタッフや看護婦の交代があります。イヤならすぐに辞めてしまうと云う逃げの精神は、結構年の行ったかつての当院のスタッフにも結構ありました。当院は専門クリニックではなく、ホームページの最初にも紹介したように、多様化する疾病構造にPrimary care として対応すべく、いろいろなことをやります。辞めていったナースに聞くと、当院の仕事はかなりきついそうです。もう10年以上当院で仕事をしてくれているスタッフも複数いますから、大変かどうかは個人差があると思いますが、一番短い人でたった1週間、だいたいダメな人は1~2ヶ月で辞めていきます。今までそのように短い期間で辞めていったスタッフに、是非ともいて欲しいと思った人材はいません。これは負け惜しみではありません。むしろ辞めてくれてホッとした人もいますし、ついにはこちらから引導を渡した人もいます。30代~50代でもイヤなら逃げると云う性格の人はいるようです。若い人に偏っているわけではありません。

 今の若い奴はと考える自分は、年をとってきたことの証明にもなってしまいそうですが、私自身が若いときから見てきても、年老いた人間が、若い人を非難するという社会現象はあったように思います。私が小学校の頃は、髪の毛の長い男の人達を長髪族と呼んで(私も短くはなかったのですが)、今では信じられないことですが、NHKのテレビ番組に出られなかったのです。”戦争を知らない子供達”と云う歌詞の中にも「髪の毛が長いと許されないなら~♪」と云う一節があります。私の時代の中学はサッカー部が強く、全国3位まで行きました。全国大会の試合の模様をNHKがテレビ放送をしていたのですが、私の中学は全国大会の準決勝、しかも東京代表でありながら、試合は放映されませんでした。サッカー部の顧問の先生は「東京代表なのに何故テレビに出さないんだ?!」と怒っていましたが、私にはその理由が充分分かっていました。全国大会の出場校はみんな丸刈りなのに、唯一私の中学だけが長髪だったからです。

 今の若者にも是非しっかりして欲しいと思います。フリーターが悪いとは思いません。でも一生そのままで行けるほど、今の社会は寛大ではありません。あなた方がもっと気持ちをしっかり持って頑張っていくか、或いは社会がフリーターに頼らざるを得ないようになっていくか、どちらかだと思います。後者になれば、日本の衰退と云うことになるでしょう。それもあり得ると思います。今の日本社会は成熟しすぎて、退化して行っているような気がしてなりません。欧米では成熟の上に成熟を積み上げてきています。万事20年遅れて欧米を追いかけている日本ですが、若い人の労働力については、20年なんて悠長なことを云っている余裕は到底ないと思います。是非頑張ってください。