電話の作法
FaxやE-Mail がどんなに普及しても、やはり声で情報を交換する電話の利用価値は今までと全く変わりません。私のクリニックでも、ひっきりなしに電話がかかってきます。私はNTTのユーザー協会に加入していますが、電話対応の講習会や、コンテストに参加しないかとのお誘いをよく受けます。当院でも講習会を受講させるまでは行きませんが、受付のスタッフに電話の応対についていろいろと注文を出しています。まず電話に出たら「○○診療所です。」ではなく「ハイ、○○診療所でございます。」と話すようにお願いしています。電話を保留にして他に繋ぐ時は、なるべく相手を待たさない様、可及的速やかに、そして必ず相手より先に電話を切るなと指導しています。受話器はガチャッと電話器の上に載せると相手側にはすごい音がします。これが何とも不愉快な音に聞こえます。少なくもこちらが先に切ることがなければ、相手に不快な思いをさせることはありません。私自身、怒った時以外は、仮にこちらが先に電話を切る場面でも指でフックを押すようにしています。その変わり、怒って電話を叩き切る時は思いっきり受話器を叩き付けます。実はこの電話を先に切らないと云うのは、大学の内科の講議で講師の先生がおっしゃっていたことなのです。学生が「向こうもなかなか切らなかったらどうするんですか?」とすかさず質問したら「その時は”先に切らせていただきます。”と云って切ればいいんだよ。」との答えでした。電話を切る直前に「あっ、そうだ、もう一つ話したいことが!」と思い立つこともしばしばありますが、その時にガチャッと切られると、まず改めて電話をかけ直すと云うことはないですね。当院のスタッフにもガチャッと受話器を置く人がいたので、何回も注意したのですが、一度ついた癖はなかなか直りません。私に内線で連絡を取るときもそのような切り方をするので、「君は院内では絶対にどんな相手でも先に切るな。」と指示したのですがダメでした。「今度やったらクビだ。」まで云ったのですが、やはりダメで、結局その他のことも含めて辞めてもらいました。会社でも、私のクリニックでも、受付の対応はお客さんがまず最初に遭遇する接点、窓口です。だからこそしっかりやってもらわなければなりません。彼女たちの対応で、私のクリニックの印象はどうにでも変わってしまう可能性があります。私が他の先生のところへ電話する時も、受付の対応がなっていないと、「ああ、あの先生はあまり気配りしていないなあ。」と判断し、ひいてはその先生との付き合いまでもが疎遠になってしまったこともありました。××クリニックと△△医院の受付嬢にこのコラムを読んでいただきたいですね。
電話の初めも、その対応の仕方で相手が良く分かるものです。顔も知らない初めて話すような場合は、電話での第一印象で今後の付き合いも違ってくると思います。電話での勧誘もよくありますが、アルバイトが多いせいか、なってない人が数多くいます。こちらも遂に頭に来て「まず名を名乗れよ!」と大きな声を出すこともしばしば。自分がどこの誰かをも伝えないで、NTTの依頼でなんて云ったって信じられませんよね。また、夜は結構患者さんから電話での問い合わせが来ます。「お世話になっております、◇◇ですが。」と姓名だけ云われても、同じ性の患者さんが当院に20~30人くらいいらっしゃる名前もあります。よくよく話を聞いてみると、何年も前に一度だけ来た患者さんとか。次回来院された時にはフルネームで話して下さいと云います。まず自分がどのような人間であるのかを、顔が見えないだけにしっかり相手に伝えなければならないと思います。やはりどこどこのだれだれですと云うべきだと思います。私は「□□市の○○診療所のTakと申しますが。」と云っています。
それから最近間違い電話で、間違った相手だと分かるとそのままガチャッと切る奴が実に多いですね。深夜2時とか3時にそんな電話がかかってくると、本当に頭に来ます。頭に来た私はしばらく前から電話にナンバーディスプレイをつけています。執念深い私は、このような形で夜中に電話で不愉快な思いをすると、すぐ受付に走っていき番号を調べ、そのままかけて文句を云います。「間違いは誰にでもあることだけれど、それで夜中に他人に迷惑を掛けたら済みませんのひとことくらい云ったらどうだ?!」と云います。だいたいは済みませんと誤ってきますが、向こうの焦り具合がよく伝わってきます。それだったら初めから素直に誤れよ!ゴメンナサイで済むことなんだから。逆に「申し訳ありません」とか「済みません」とか云ってくる相手には、「こちらは○○○○○○○○○番ですよ。」と教えてあげます。そうすると向こうも何処を間違えたか分かるはずです。
かく云う私も間違えることもありますが、「ああ、申し訳ございません、○○○○○○○番ではありませんでしたか?」とお尋ねしています。自分のダイアル違いもあれば、番号は合っているのに変わってしまったとか、番号の写し違いとかもあります。でないと、再度また間違えてかけてしまうこともありますから。これをしなかったために、御丁寧に2度も続けてガチャ切りをする奴がいます。後ろで聞こえる音楽やテレビの音で同じ奴だと分かることがあるのですが、そんな時はDr.Takは怒り心頭です。「バッキャロー!!!、テメエ! ふざけんなあ!!!」と怒鳴って、こちらから思いっきり受話器を叩き付けたこともあります。勧誘電話で不愉快な思いをすることが多いので、最近は非通知電話は受け付けないように切り替えてしまおうかとも思っています。患者さんには迷惑は掛けないと思いますので。
もう数年するとテレビ電話が普及して来るでしょう。そうなるとまた様相は変わって来ると思いますが、電話がかかって来ると、急いで服を着たり、化粧をしなければならないと云うのも不便ですね。でもいきなり間違い電話で知らない人の顔が出て、それから恋に発展することもあったりして? 私は電話にまで顔を出したくはないですけれどね..........。