初日
そんなことで急遽計画したマニラ旅行、こんなときアメリカン・エキスプレスのコンシェルジュは本当に頼りがいがあります。もうかれこれ数回の旅行を担当してくれている人を指名して計画してもらいました。まず心配だったのは上海旅行をキャンセルする上でキャンセル料が発生しないか? 更にもっと心配なのは突然のドタキャンで僕のアメリカン・エキスプレス側から見た信用が失墜しないか? それを一番恐れました。何よりも僕は信頼が大事だと考えていますし、今までにはこんなキャンセルなんてしたことなく、全て当初の予定通りやってきましたから。でもコンシェルジュ曰く、そんな心配は全くないとのこと。そしてキャンセル料も全く発生しないとの返答をいただきました。そして今回の旅行とあいなった次第、それでも最高に楽しめた旅行のレポートを。
タイへ行くときもそうでした。午前9時半過ぎに成田を出る飛行機なら当日家から出発で大丈夫。未だ暗いうちに女房も起こさずそっと出てきます。もちろん未だ暗くて雨も降っている。午前4時半、必ずタクシーは拾えます。そして5時半ターミナル駅発のリムジンバスに乗ります。
ターミナル駅にてリムジンバスを待ちます。もう時刻は午前5時過ぎ、薄らと空が明るみ始めます。雨もようやく止み、屋根の下から出て行ってバス停に並びます。少し前に羽田行きのバスが出ます。ちょっとやはり貫徹は辛い、もう早く座りたい気持ちになってきます。
上海行きはF1の影響なのか、搭乗手続きに長蛇の列です。マニラ行きもいつもながら混んでいます。一番最初だけは失敗でした。でもその後はビジネスクラスは並ばないで良いと知りました。列を尻目にスタッフにチケットを見せるとテープを引っ張ってどうぞと通してくれます。
朝ご飯、今日は何故かうどんが食べたかった。讃岐うどんの店があったので、天ぷらうどんを頼みました。関西風の薄いスープ。フィリピンは食べ物は決して良くありません。食べ物に関してはタイの方がひとつもふたつも上です。今回は中華や日本料理を食べることになりそう。
驚きました! 前回のパタヤ旅行の時は、結構ぎりぎりの時間で急いでいたため気付かなかった。成田のデューティフリーの店がずいぶん拡張され増えていました。バンコック国際空港ほどではないにしても、これだけあるととても全部は見て歩けないくらい。娘にはもうお土産を。
時間的余裕はありましたが、早めに搭乗口に行きました。上海行きの飛行機が2名の日本人の搭乗が遅れているために必死に名前を呼んでアナウンスしています。おいて行っちまえよ! 時間を守れない奴、この全体社会の中で生きて行く資格がないと、僕はそこまで考えます。
今日の飛行機はボーイング747、この機種が僕は落ち着きます。37歳で御巣鷹山で死んだ僕の従姉妹は生きていれば今年還暦を迎えるはず。何故? あの飛行機にさえ乗らなければ、僕の女房とも飲みに行っていたろうに、女同士で一緒に飲める親戚が出来たと喜んでいた矢先でした。
今回も予約が遅い割には格安のビジネスクラスが確保出来ました。B-747の一番前、もしかつてのルフトハンザの羽田での事故のように壁にぶつかるなら、一番最初に死ぬんだな? しかもここじゃペッチャンコになって、遺体の確認すら無理だろう........。そんなことを考えました。
すみません、また撮ってはいけないタイミングで写真を撮ってしまいました。でも本当に僕はこの滑走路を見るのが大好き、この長い道をGを感じながらスピードを上げ、そして辛い現実から逃げ出すのです。誰も追いかけて来ない、束縛を受けない自由な時間と地を手に入れるのです!
雲が多い、今沖縄方面に台風15号が来ています。その影響なのか? 実は娘が修学旅行で今沖縄に行っています。帰れるのかどうか? 台風の沖縄じゃどうしようもないね。出発前に娘にメールを打ちました。1時間半後に父さんはお前の頭の上にいるよ って。
機内食は和食か洋食、そして洋食のみアントレをチキンかビーフをセレクトします。最近は普段からなるべくビーフは避けるようにしてきました。時々飢えたようにステーキを食べますが、月に2回くらい? もちろん機内での僕のオーダーもビーフではなくチキン、なかなかのお味。
そろそろ高度が下がり始め、エンジンの音も静かになってきました。下を見るともう陸地が。ルソン島のマニラの反対側でしょう。結構海は青い。でも天気は良くなさそうです。そう、今日の飛行機は結構揺れました。でも最近は揺れても怖くはなくなりました。死ぬ覚悟は出来てます!
タイは今まで3回、フィリピンは今回で4回目。タイの方が治安は良いし、食べ物は美味しい、フィリピンの方が悪い奴が多い(流しのタクシーなんてなかなか乗れません)、気候は似たり寄ったり、だけど何故か僕はタイよりはフィリピンに引かれます。退廃的な雰囲気が好きです。
ああ、もうすぐ到着です。向こう側の高層ビルの建ち並ぶ地区はマカティと云う、比較的治安の良い街。ペニンシュラやオリエンタル、シャングリラと云った高級ホテルもたくさんあります。でも! 僕はパサイやマラテのように治安がちょっと悪くてもネイティブ・フィリピンを感じることが出来るベイサイドのエリアの方が好きです。
ズームインすると、前回の1月の旅行で観光して廻ったアメリカ軍の外国人墓地が見えました。マニラでお世話になった人の取り計らいで、友人達と観光に来ました。仲の良い友人達と来てワイワイ騒ぐのもそれはそれで楽しい。だけど僕は一人旅も大好き、誰に遠慮することもなく、気を遣うこともなく、自由気ままに行動出来ますから。
今回は送迎も用意する旨コンシェルジュからお薦めを受けていたのですが、それを断り自分でタクシーで行くことにしていました。手違いで出迎えがいなかったり、逆に飛行機が遅れて相手を待たせることに自分自身がストレスを感じるからです。割高でも安全なクーポンタクシーを。
流しのタクシーを拾うと、違うところに連れて行かれてお金や荷物を脅しとられたり、遠回りしてぼったくられたり、ろくなことがないそうです。このクーポンタクシーなら予め料金は決められ、実際に渋滞が酷くて時間がかかっても料金が上がることはありません。
そしてフィリピンでタクシーに乗った時の基本中の基本、自分で必ずドアをロックする。日本と違いドアは自動ではありません。自分で閉めてロックを。でないと裏道で渋滞や信号待ちで停車したときに、いきなり引きずり出されて犯罪に巻き込まれることもない訳ではないのです。
僕はハイアットのGold Passportを持っています。それが効を奏したのか、Amexの力なのか判らないのですが、部屋のGrade upがなされ、何とスイートルームに。この値段で? それもものすごい広い、しかも33階建ての32階です。一人では持て余してしまう広さ。ここはリビング。
こちらはベッドルーム。窓の外は僕の好きな退廃的な、饐えた匂いのするマニラの街並が見下ろせます。向こうには1棟だけ背の高いホテルがありますが、それ以外は遮る物がありません。更に奥には前回行った公園や要塞の跡も見えます。そして向かって左側にはマニラ湾も。
これがマニラ湾、サンセットもばっちり見えるでしょう。そう、比較的安全なマカティ地区のホテルではなく、治安が悪くてもわざわざベイサイド側のホテルを取るのはそのサンセットを見たい気持ちもあるから。むしろマカティの方がホスピタリティの良いホテルが多いのですが。
今日は曇っているので諦めますが、一応下見に楽しみのSwimming poolを見に行きました。Webでこのホテルに割と大きなプールがあることは事前に掴んでいましたし、またプールがあることが投宿するホテルを選ぶ上での僕の必須条件です。右側にはジャグジーもありました。
でもこのプール、地上ではなく8階のスペースに作られていました。しかも三方を高いビルに囲まれ、何となく暗い感じ、陽の光も入っては来ますが、すぐに日陰になってしまいそう。ホントはプールではなく、日焼けするスペースが欲しいのです。それなら日サロで良いか......?
さて、ひとまずホテル周囲の散策と行きますか? もっとも昨年泊まったホテルの隣に位置するところ、周囲の勝手はだいたい判っています。派手なジプニーもすごい排気ガスを出しながら、しかもすごい音のクラクションをならしながら行き交います。マニラでは危なくて乗れません。
ホテルに併設するカジノ。明日か明後日いくつもりです。ある程度のドレスコードはあるようです。少なくも今の短パン+ゴム草履では無理でしょう。でも中から出て来る人を見ていると、ノータイでも良さそう。一応ネクタイは持ってきましたが、007のようにタキシードは不要?
ホテルの裏手にロビンソン・デパートがあります。今回の旅行の目的の一つ、バロン・タガログと云うフィリピンの礼装用のシャツを買うこと。空港からのタクシーの中で運ちゃんに尋ねました。そうしたらこの中の’オブラ’と云うところにある って情報を仕入れました。
少しデパートの中を探すも’オブラ’と云う店は見つからず、諦めて出てきました。少し東の方へ歩きます。これはマラテ教会、マラテとはこの近辺の地名ですが、教会は如何にもスペインの影響を受けた年代物。ちょっと神聖な気持ちになるような威厳を感じます。
食事は期待していなかったけれど、歩いている所でこんなものしかありませんでした。ファーストフード風の中華レストラン。スパイシーなチキン炒飯に春巻き、確かに美味しくない! 今までフィリピンで美味しいと思ったのは知り合いに連れて行ってもらった高級レストランのみ。
この辺にはさりげなく迷い込んでしまいましたが、人通りも多くはなく、あまり安全とは云えなそう。時々人とすれ違いますが、後ろから人の気配を感じるとサッとよけてやり過ごします。ちょっとやばいな? この辺はもう辞めにして今度はロハス通りに出て海側を散策に出掛けます。
マニラ湾の海です。しかし.....、手前は陸地ではありません。海に浮かぶゴミなのです。こんなのは国が何とかして清掃出来ないのでしょうか? こんなところに発展途上国の脆さが見て取れます。その横で階段を降りてゴミを漁る奴もいました。まだまだ発展の余地あり。
野良猫がいました。やはり痩せこけて栄養状態は良くない。ふと思い出しました。僕の愛犬は留守中動物病院に入院、避妊手術を受けています。もう術後3日目、そろそろ痛みも取れて、食事も摂り始めているでしょう。日本に帰ったら真っ先に迎えに行くからね。主人を忘れるなよ!
この海岸沿いの道も僕が初めてフィリピンに来た時は危ないから行かない方が良いと云うアドバイスを受けました。でも今は人が多く、そんな危険な感じはしません。時々大きな波が当たって水しぶきが上がると、若い女の子が悲鳴を上げて逃げ惑っていました。平和......。
遊歩道の街灯がつき始めました。如何にもフィリピンらしい色合い、でも期待していたサンセットは雲が多くダメそうです。右側がロハス通りと云う海岸通り、マニラ市内の大動脈たる広い道ですが、渋滞はこのありさま。確かにマニラの渋滞は東京よりひどい、ホテルまでもうちょい。
この馬車引きがものすごくしつこい、結局負けて、あとホテルまで歩いて10分足らずのところ、乗せてもらうことに。写真も撮ってやるからカメラをよこせと頻りに云います。こいつの写真の取り方、本当にヘタクソ、5~6枚撮った中で一番ましなこの写真もピンぼけです。
走っているところ、走り出してしばらく、「僕は彼の友達なんだ。」ともう一人乗り込んできました。馬は走るとそこそこのスピード、しかし交通規制のせいなのか、或はわざとそうしているのか、真っ直ぐホテルに行きません。ちょっとやべ~ぞ? 僕の提案を全く聞き入れません。
ホテルまで30ペソと云う約束、今にして思えば安すぎる。しかもこいつは馬は息が苦しそうだから可哀想だと云っています。値上げの言い訳か?こき使っているのはおめ~だろ?! いいよ、約束の倍、60ペソ出すから止めてくれ、ここで良いよ。ついに怒鳴りました。降ろせ!
表に立っている警備員に頼みました。そのショットガンの写真を撮らせてくれないかい? 笑顔でOK、OKと。一見強面の警備員も話しかけると何とも云えない優しい笑顔を見せます。本当にそれを使う場面ってあるの? この弾丸が頭に当たったら、頭は吹っ飛んでなくなるぜ.......。
結局今夜は和食屋さんで焼き鳥に。有名な店ではあり、かつてこちらで合流した患者さんと来たことがありますが、とにかく注文も会計も遅い!! しかし、フィリピンではそんな時間のことでイライラしてはダメ、そう云う国民性なのです。最低限の自分の仕事をこなせば良い。
つくねは美味しかったけれど、後はあまり......。スタッフは現地の女の子ですが、「いらっしゃいませ~。」と云う挨拶だけは立派。メニューも日本語で書いてあり、まるでフィリピンにいることを忘れさせてしまうような雰囲気です。ビールで良い気分に。やはり疲れているのかな?
僕の部屋からの夜景です。フラッシュを点けないようにしてオートで撮ると、シャッター時間がグンと伸びて、出来上がる写真そのものはかなり明るくなります。実際にはもっと暗い中にライトやネオンがコントラストを作ってきれい。どうやらスコール? 結構な勢いで降っています。