重税感
このコーナーの真髄に入ります。正にこの愚痴を書きたかったんです。是非聞いて下さい!
皆さんも聞いたことがおありだと思いますが、医師優遇税制というのがありました。これは医者が税制面で優遇される措置です。何で医者だけ優遇されるの? そんなの撤廃されて当然じゃん! とあなたはおっしゃるでしょう。確かに、この言葉だけ聞いていればそう思われるのも当然です。そして皆さんのご希望通り撤廃されました。だから今、ものすごく重税感を感じています。私は借金が多いので、結構苦しんでいます。当院顧問の税理士さんに「先生は設備投資にずいぶんお金を使いますからねぇ。」とつい先日云われてしまいました。でも設備投資は、当院に来てくれる患者さんへの私の義務のつもりです。また年末にコンピューター減税を利用して院内のコンピューターの総入れ替え、Macintosh G4 を1台と iMacを各色オーダーしてしまいました。また当院の職員達も結構税金を取られています。ときどきナース達に「一緒に百姓一揆を起こそうぜ!」なんて話して笑われています。
まあ日本は資本主義ということになっていますが、本当にそうでしょうか? 私は思います! 日本は官僚支配の社会主義国ですよ! どこかの国と違ってホームページにこんなことを書いても逮捕されることはないでしょう、それが救いですけど。多分そういう国ではこのページを見られただけで、明日には投獄されちゃうんでしょうね。でも皆さんも重税感て感じませんか? 都庁だって、あんな化け物みたいに豪華な建物作って、今更お金がないからああだこうだと云っても通じませんよ! 私は一度だけ都庁に行ったことがあります。診療所で使っていた麻薬が期限切れとなり、これを処分しに行きました。我々医療関係に従事する者に対しても麻薬の取扱は非常に厳重です。もちろん当然のことですが、期限が切れたからと云ってもおいそれ流しに捨てるわけには行きません。常に麻薬台帳をリアルタイムに記録し、定期的に都へ報告し、破棄する麻薬は直接都庁の麻薬課へ持参しなければなりません。それに従い都庁へ行ったときのことです。
今の都庁が出来て1年くらいしてからですが、初めて都庁に入り、ロビーを歩いていたときのことでした。外装、内装のあちらこちらに石が使ってあります。豪華でしたね~。バブルタワーとはよく云ったもんだ。あっ、あそこの壁に貼ってある石は僕の払った税金の分だなんて思いながら歩いていました。麻薬課は都庁のだいぶ上のフロアにあるのでエレベーターを捜していたら、ありました。しかしこんな高いビルなのに狭そうなエレベーターだなと思ってウロウロしていたら、中年のおばさん警備員(それも、もう少しダイエットした方がよさそうな)が鬼瓦のような顔をしてすっ飛んで来ました。まあホテルだとかデパートなら「何かお探しですか?」とか「お承り致しましょうか?」とか、外国だったら"Can I help you?" とか優しく聞いてくれるシチュエーションでしょうね。いきなりその鬼瓦が「なんですかぁ!?」と怒鳴るように云ってきました。爆弾テロリストくらいに見えたんですかね? まあ麻薬のアンプルをバッグに入れていますので、小脇に抱えてしっかり持っていましたから。私の方も豪華な内装を見てカッカと来ていたので鼻息荒く言い返しました。「いやあ、僕は○○市の開業医ですが、処分したい麻薬を持って麻薬課へ行くところです。それでエレベーターを捜していたんですが、あなたも「なんですかぁ」なんて大声で云わなくても良いでしょう! もっとましな聞き方があるんじゃないですか?!」と。「それならエレベーターはあっちです!」短い手で向こうの方を指さしています。「ああ、そうですか!」不機嫌に私はそこを立ち去りました。心の中では「アンタの給料だって僕の税金から出ているんだぜ!」。狭そうなエレベーターは荷物専用か、職員専用だったようです。
ちょっと脱線しましたが、医師優遇税制に話を少しずつ戻します。まぁはっきり云って日本の医療費個々は欧米に比べて安いんです。国民皆保険ですから。アメリカではむしろ自由診療の方が多く、比較的低所得の人達が保険診療を受けます。アメリカも今や日本の国民皆保険を模倣しようと、クリントンさんが先頭になって、現在いろいろ日本の事情を勉強しているようです。アメリカの比較的裕福な層は自由診療で、各医師が自分で決めた値段で診療をしています。そしてその診療費が高額なほど医師、つまりは診療内容のステイタスが高いという認識があるようです。一方、患者さんの方も値段の高いところがより良い医療を提供してくれるという認識であり、両者の認識は一致しているようです。だからアメリカのお医者さんは裕福で格好いいですねえ。この間、バイアグラのアメリカ人講師を招いた学術講演会に行ってきました。もう60過ぎの格幅のいい先生です。なんでも、真空勃起補助器を発明した人だそうです。その人が真っ赤なネクタイをして、それが決まっていて、チョー格好いいんです。あのように年をとりたいなあ、稼いでいるんだろうなあと思いました。アメリカでは高額な訴訟が多く、お医者さんは55歳くらいになると、特に著明な先生はリタイヤしてしまうんだそうです。でも55歳で残りの余生をのんびりやっていく蓄財が出来るんだそうです。私、55歳で仕事を止めたら、翌月から困るでしょうね。
さて、またまた脱線してしまいましたが、再度医師優遇税制に話を戻します。実はなんでこのようなものが出来たのかというと...........。昭和30年代当時、政府は国民皆保険に協力してくれと日本医師会に申し入れをしました。つまり保険で安い医療を提供してくれという要請があったわけです。日本医師会は冗談じゃないよ! と言うことでその申し入れを突っぱねました。それでは、税制面で優遇するからどうだ? という妥協案が出たため、日本医師会はそれを飲んだわけです。しかも、薬を納入する際に利益を付けて、つまり今云われている薬価差益を潜在的技術料としてよろしく! ということだったんです。今新聞報道ではこの薬価差益を諸悪の根元のようにまくし立てています。今我々の院内で使用する薬の仕入値はだいたい薬価の90%以上です。しかもこれに消費税が加わります。一方で保険の支払基金は消費税を支払ってくれません。薬価がそれを含んでいるという認識です。我々医師は患者さんの消費税を被っているという認識です。ひどい話でしょう? 都庁の立派な壁の石の納入価格はどれくらいなんでしょう? 昔、安い医療を提供してくれと云っておき、さらにこういうふうにして少ない利益をカバーしてくれと云われて、結局全てとっぱらわれてしまった訳です。屋根にのっかってしまったボールを梯子をかけて取ってきてくれといいながら、その梯子を上ったところで、下から梯子を押し倒すようなもんだ! とある先生がおっしゃっていました。まさにそうだと思います。
それでは解決策は? 私は問題提起だけして、自分では解決策について何も云わない人が大嫌いです。よくいますよね! そういう人が。だからちょっと一言云います。日本では薬価が高すぎます!日本の健康保険で定められた薬価はアメリカの1.5~2倍、フランスの2~3倍と云われています。これを欧米なみにするだけで、かなり今の逼迫した医療財政は緩和されると云われています。私自身、今や薬価差益なんて要らないと思っています。そのかわりもっと安くすべきです。なんでならないんでしょうねえ? 理由は分かってるんですけどね。それまでここに書くとちょっとあとが恐いので御容赦下さい。国が公共事業にお金をばらまくのと同じ理由です。
あ~あ、ずいぶん書いてしまいましたね。御意見のある方お待ちしています。反対意見も拒みません。もしお前は勉強不足だ! という人があれば甘んじてご教示を受けたいと思っています。
それから未だにはっきりしない介護保険、大丈夫なんでしょうか? 国や自治体は、この介護保険をビジネスチャンスという言葉を使って、一般業者の参入を誘っています。これってビジネスですか? 医師法ではこのような考え方が禁止されています。唆されて新たに入ってくる人間と、釘を刺された人間がうまく噛み合っていくのでしょうか? 医師の側には今までの医療と同じようにやっていけばよいという意識がありますけれど.........。このゴールドプランを作った人は今刑務所ですか? もう保釈されているんですか? この人のことは興味もありませんが。介護保険も総選挙を睨んで右往左往していますね。年をとるにもお金がかかるようです。迷走日本! どうなることやら? まず景気回復が何よりですか? ところで、地域振興券、あれって効果あったんでしょうか? うちでは3人の子供達がそれぞれCDやらおもちゃやら好きなものを買っていたようですけど..........。もう~、愚痴ばっかり!