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子供のしつけ


先日、新聞やテレビで、日本の子供のしつけが先進国で最低である旨報道されていました。子を持つ親の一人としてショックを受けました。そうかなあと思いつついろいろ考えさせられましたが、思い当たる節もちょっとありましたねえ。まず、人の子のことを云々する前に、自分が子供だった頃のことを思い出してみました。今思えば結構生意気なガキでしたよ。いくつか大人と喧嘩したことを覚えています。

 私は自宅から電車に乗って小学校に通っていました。かなり負けず嫌いの性格も災いしたと思うのですが.........。あれは小学校高学年の時だったと思います。家から当時の国電、今で云うJR線の駅までバスに約10分くらい乗ります。その駅はバスの終点なので、乗客の全員が降ります。ある日、私が降りようとしてステップの前に来たときに、後ろから中年サラリーマン風の男の人に押しのけられました。その人が私を押しのけて先に降りようとしたので、負けず嫌いの私は更にその男の前に強引に入り込み、先にステップの階段を下りました。「ざまあ見ろ!」と心の中で呟きながら、後ろも見ずに走りだそうとしたところ、私は何かに足をとられ危うく前に転びそうになりました。振り返って見ると、なんとその男が傘の柄で私の足を引っかけたのです。当然私はカーッとなり、「何するんだよう!」と大声を上げていました。相手が第一声発した言葉はよく覚えていないのですが(何せ30年以上前のことです)、自分の方が先に降りるはずなのが、私が割り込んで先に降りたと云うのが向こうの言い分です。冗談じゃありません。人を押しのけて向こうが先に降りようとしたんです。中年サラリーマンVS小学生の口喧嘩が始まりました。こちらは悪くないと思っているので強気です。いろいろ言い合いをしましたが、最後の部分だけ鮮明に覚えています。中年サラリーマン:「それが目上の人間に対する言葉か?!」小学生:「何が目上だ! ただ年が上だってだけじゃないか!」中年サラリーマン:「年上のことを目上って云うんだ、もっと勉強しろ!」小学生:「年上だから目上ってわけじゃないんだ! 尊敬できて初めて目上って云うんだ!」すぐそばに交番があります。私が「じゃあお巡りさんのところに行って、どっちが悪いか聞いてみようよ!」と云うと、その中年サラリーマンはそそくさと走って逃げていきました。この勝負、今でも私の勝ちだと確信しています。

 もう一つ私が勝った電車の中での喧嘩のお話。やはり相手は男の中年サラリーマン。私の乗る電車は私の通学時間がラッシュアワーのピークになります。ランドセルを背負って両足を上げても下に落ちません。各駅でドアの近くにいる人は一度ホームに降りて、後ろにいる人が降りてからもう1回後ろ向きに乗り込みます。時に駅員さんが押し込んでくれます。途中駅で一度ホームへ降りた私がもう1度乗り込もうとすると、私の後ろの人が押し返してきて、私を乗せまいとします。ドアが閉まる直前、私は勢いをつけて強引に入り込みました。ドアが閉まってから後ろの中年サラリーマンとバトル開始です。中年サラリーマン:「すごい乗り方だね!」小学生:「自分が窓際に行きたいために他人を押し返す人がいるからしょうがないんですよ!」中年サラリーマン:「.................。」返す言葉が無いようです。当然です。小学校のガキに図星を突かれたわけですから。この勝負、第1ラウンドで小学生のKO勝ちです。

 まあ私の性格を露呈するようなことを書きましたが、自分に非がないと確信していますので、強いはずです。しかし今思えば、私の対戦相手はどの様に私を見ていたのでしょうね。やはりしつけがなってないと思ったのでしょうか? よく親の顔を見たいなどと云いますが、この2件については私は今でも両親の顔を見ていただいて結構という自信に満ちています。それでは次は他人の子供編です。

 当院でも小児科の看板は揚げていませんが、子供の風邪やら怪我やら、小さい子の患者さんが結構来られます。つい先日小学生が1人で来院し、私と話をしました。ちょっと気持ち悪いくらいしっかりしている子で、少し口下手な大人顔負けの話し方です。彼の話を1回聞いて、彼の状態をすぐに把握し、対処出来ました。後日に彼はお母さんと一緒に来ました。通常、小学生くらいの患者さんが親と一緒に来院すると、親の方がいろいろと話をし、本人に問いただすと口ごもることが殆どです。私は小学生も高学年くらいになると、「自分で話せるよね。」と云って本人に訴えを云わせるようにしむけています。しかしこの子の場合は、お母さんは後ろに立っているだけ。彼の話だけで充分診療に際しての情報が1発で聞いて取れました。最後に私はお母さんに「ねえ、お母さん。彼を誉めて上げて下さい。本当に彼はしっかりしていますよ。大人でもこんなにきちっと自分の症状を正確に伝えられる人ってあまりいませんよ。」と申し上げました。お母さんは「恐れ入ります。」なんてちょっとはにかんでいましたが、いやいや大したものです。過日の彼の診察の際にもナースに「あの子はすごいねえ。」と話したところです。ナースも同感でした。やはりこういう子のお母さんも非常にしっかりしていますね。むしろこの子の場合は、それも霞んでしまうくらい本人がしっかりしていました。さあて、今度は悪い例です。しつけのなってない子、やっぱりいますよねえ。

 数年前のことです。予防注射に来た小学校低学年の女の子がいました。やはり、小学生では注射はイヤです。まだこれくらいの年の子だと泣いちゃう子もいます。それはしょうがないと思います。しかしこの子は注射の準備をしている間ギャンギャン泣きまくり、初めはふざけて泣き真似をしているのかと思ったほどです。しかしどうやら本人は大マジ。いよいよ注射をしようとすると今度は大暴れ。しかもお母さんは後ろでつっ立っているだけ(後ろに立っているだけというのは前の例と同じですが.........)、大暴れするわが子をなだめようとも押さえようともしません。結局うちのナースが押さえようとしますが(彼女はもうベテラン、子供の注射の際の固め技もしっかりマスターしています)、彼女でさえどうしようもない暴れ方です。私が注射器を片手に「お母さん! ちょっと何とかして下さいよ!」と云っても呆然としているだけ、身動きできません。一度注射器を机に置いて、「いや~、これじゃ危なくて注射できませんよ。お母さん何とか云ってやって下さい。」もうどうしようもありません。「お母さん、もう彼女の年になればもう少し何とかなるはずですよ。この状態でもお母さんは叱ることが出来ませんか?」と聞くと、何とお母さんの答えは「出来ません。」「じゃあ、僕が叱ってあげましょうか?」と云うとお母さんからは「やめて下さい。」との返事。結局一度待合室に出て貰い、優しく諭してからもう1回 Try ということになりました。いやはや、子供も子供、母親も母親と云ったところでしょうか。

 診察室の患者さん用の丸椅子は、背中からの診察もすぐ出来るように座ったまま後ろにクルッと廻る構造になっています。小さい子はだいたいこれを面白がって、机に手をかけながらグルグル廻り始めます。幼稚園の面接であれば、もしこれをしなければ活発な子ではないという判断で、むしろ減点になるとも聞いたことがあります。まあこれはしょうがないことです。しかし、廻り始めるとお母さんは「コラッ、グルグルしちゃダメ!」と注意します。ここですんなり止める子と、止めない子に別れます。同じく幼稚園の面接では、注意しても止めない子は間違いなく減点になるでしょう。しかし、連続の減点で0点になっちゃう子がいます。ここでは私はお母さんの採点もしています。ある程度のところでバシッと止めさせられるお母さんと、止めさせることが出来ないお母さん。最後まで止めさせられないとお母さんも0点です。時々0点のお母さんがいます。


 今学校で先生の体罰がよく取り沙汰されます。この間、小学校の先生をしている女性の患者さんがぼやいていました。「先生、僕を叩いたら教育委員会に報告するからね。そうしたら先生はクビだよ。」と云う小学生が本当にいるんだそうです。見事です。ここまで来ているんですねえ。私は小学校、中学校時代、よく先生にひっぱたかれたり、蹴飛ばされたりしました。中学の体育の先生は、少し緩めた竹刀を持ち、その握りの部分には「愛のむち」と書いてありました。クラブの顧問の先生は練習中にいつもスリッパを持っていました(履くのではなく、叩くためです)。しかし、私は今もそんな先生達と飲みに行ったりゴルフに行ったりします。こんなことを書くと、教育委員会やPTAから袋叩きにされそうですが、どうして叩いちゃいけないんでしょうか? 先生も未熟になってきているような気がしてなりません。だから校門圧死事件みたいなものが起こるのではないでしょうか? どうやら感情に任せてやってしまう先生がいたこともあったようです。だから、子供を預ける学校と親との間の信頼関係が希薄になったんだと思います。叩かれなければ分からない年頃ってあると思うんですが、無難に行こうってみんな思っちゃうんでしょうね。「先生はクビだよ。」と小学生が云うような状況はやっぱり異常だと思わざるを得ません。私は校医を兼任していますので、親と子供の関係について相談を受けることもたまにあります。グレちゃう子って、やはり親とのSkinshipが欠けているように見えます。特に小学校高学年から中学校にかけての環境ってすごく大事だと思いますし、また難しいと思います。高校生になると、道からそれた場合にはなかなか元に戻らないようです。当然でしょう? もうそのころは1人前です。体なんかは大人以上ですから。私は個人的には自分の息子や娘が、愛情をもって叩かれるなら歓迎する気持ちでいます。長男の中学校の柔道部の顧問の先生には「どうぞ、悪いときはひっぱたいてやってください。」と頼んであります。どうやらまだひっぱたかれていないようですけれど。そして、世の教師達の中で精神的に病んでくる人が増えてきていると云われています。別に叩いてストレスを発散してくれと云っているわけではありません。今でこそ私が昔先生に叩かれたのは「愛のむち」であることを充分承知しています。ちょっとおかしいですよねえ。こうして「先生はクビだよ。」と云う小学生が大人になって子供を育てるとき、いったいどういう教育が行われているのでしょうか? 本当に心配です。入学前に、叩いていいと考える親と、絶対ダメと考えている親とをしっかり調査して、学校レベルで完全に分けちゃったらどうでしょう? 私は絶対前者の学校に自分の子供を入れます。更に現在では子供の体はどんどん大きくスマートになっているのに、体力的に弱い子が増えているそうです。長距離を走らせると心不全を起こす子や、簡単に骨折する子が増えてきています。だから校医として、マラソン前検診や、修学旅行前検診で事前に弱い子をしっかりマークしなければならなくなってきています。何か成長期の子供の置かれる環境が、いろいろなテクノロジー、設備等の進化に逆行して悪い方向に行っているような気がしてなりません。本当に、本当に心配です...........。