ダブルパンチ
本来は自らの使命、仕事ということで、このGrumble の項に書くべきではないのかもしれませんが、この4月は忙しくなりそうで今から思いやられます。何が忙しくなりそうなのかというと、健康保険点数改正と介護保険開始のダブルパンチなんです。
まず保険点数の改正ですが.........、(改正なんておこがましいのですが、私に云わせれば改悪?)これは2年ごとに行われる、我々の診療報酬の金額が見直され、その値段が変わるものです。雀の涙ほどの診療点数の増額、薬価はガバッと減額、薬価の減額は重税感の項で述べましたように、欧米の値段に近付くと云うことで歓迎なのですが、今まで何が何点と頭に入っていたものが全てリセットされるわけで、日常診療を進める上でもいちいちアンチョコをチェックしなければならず、時間がかかります。保険支払基金のお偉いさんが、点数改正は毎年でも歓迎だなどとほざいてますが、診療を遅らせること、コンピューターのソフトの交換、患者さんへの説明、従業員の労働力、どれだけのロスがあるか分かっているんでしょうか? 私時々思うんですけど、このように国家レベルの約束事を決めるに当たり、それを決める人間があまりにも現場を知らなさすぎると思います。現場の混乱を知らないからこそ、毎年でもよいなんて馬鹿なことを云い出すんです。私のところくらいの小さなクリニックでさえ大変なのに、大きな総合病院ではむこう1-2ケ月大混乱でしょうね。だから今回新潟であった警察、警察庁の醜聞劇でも所謂キャリア組がやりたいことをやって、現場で一生懸命やっている(ノンキャリアと呼ばれる)人々から非難ごうごうというのは、日本のどの世界でもあることなんですね。適当に視察を終わらせて、温泉、雪見酒に麻雀やって退職金3000万、4000万なんて冗談じゃないですよね!つくづく思います。どうして天下りって廃止できないんですか? 一生涯同じ畑で仕事をやっていいじゃないですか。50歳そこそこで退職金たっぷりもらって、公益団体に重役として納まって、数年で転々と居場所を変えて、またまた退職金をもらって。こいつらの給料、ボーナス、退職金、みんな我々の税金、いや血税ですよ! ほんとにザケンナヨ!(実は確定申告の後の追徴の金額に今青ざめています.........。だから年末、年度末に予算消化道路工事で道が渋滞すると本当に頭に来ます。)
もうひとつ、介護保険の開始。これってきっと大変ですよ~。見込み発車する制度ですから、まだ決まってないこともたくさんあって、始まると現場の混乱がいろいろ起きて来るでしょうね。実は数日前、介護保険に関する基礎セミナーに行ってきました。私自身介護保険についてはまだまだ勉強不足で、焦りもあったのですが、医師会や厚生省、都、市から来る資料も何が何だか分からずズルズル来てしまいました。そこで焦りのあまり、「今からでも間に合う」というふれこみのセミナーを急遽申し込んで講習を受けてきたんです。正直なところ「エ~ッ!そんなことがいつの間に決まったの?」の連続でした。いくら私が勉強不足とは云え、私の周りのドクター達がこんなことを全部知っているとは到底思えません。介護保険を導入するための介護度を判定するため、昨年末くらいから我々はその患者さんについての意見書を市から求められて書いています。日本医師会の監修による意見書作成ソフトのハイブリット版が出回っているのですが、市からの要請では意見書を書く際に「絶対ワープロやコンピューターを使わないで下さい。」とのただし書きがあります。巷に出ているソフトには患者さんの介護保険のための番号を書くOCRの欄がないからとの理由ですが、とても市から送られてくる書類には、OCRが読めるとは到底思えないような汚い手書きの字で書き込んであります。よくよく聞いてみると、OCRは現在使っていない状況とか。公僕たる人間が、自分達の仕事を如何に楽にやるかしか考えていないんです。社会保険の診療報酬の請求の際もOCRで数字を読むようですが、これに先立ち、各ソフト会社にOCRの読みとりが上手く出来ないのでフォントを改善せよとの通知がありました。読めるようにお前らが自分のハードを改善すれば良いんだよ! 郵便局の郵便番号読みとり機も談合によって、特定の2社(新卒大学生を一番多く採用する家電メーカーと、Windows マシンを作るコンピューター最大手です)だけが落札します。もう話し合いが出来上がっていて、他のメーカーは時間的に間に合わないように入札するんだそうです。これからはペーパーレスの時代。介護保険の請求は伝送でお願いしますとのことです。これって電送の間違いですよね。出来ればパソコン通信、ディスク、若しくはMOで、やむを得ない時には紙に書いてもよいとのことですが、この紙に書くというのがどのような形式でとまだ決まっていないんですって! あと2週間で開始ですよ! 電送だってどのようなフォーマットで、CSV 形式 なのかExcel形式なのか、またどこに送ればいいのか医師会で知っている先生はいらっしゃいませんでした。もちろんMacでは送ることはできないでしょう。一般業者さんの方は準備万端整っているのでしょうか? 私の解釈ですが、介護保険については我々医師は傍役です。と云っても責任がないと云うことではなくて、ケアプランを作るケアマネージャーと、サービスを提供する業者が主体になり、我々医師が行なう診療行為、つまり一般業者が行なうところのサービスは今まで通り健康保険、老人保険で賄われます。私が訪問看護で診ている患者さんや患者さんの家族には、私が行なう部分では殆ど今まで通りと変わりませんよと説明しています。
そんなこんなで、向こう2ヶ月間くらいは大変な日々になりそうです。そんな中、私は診療所のコンピューターの入れ替えをしなければならないし、看護学校の講議はまた引き受けちゃったし、もう泣きそうです。ここに新年度、第2次コンピューター2000年問題でも起きようものなら泣きっ面に蜂ですね............。