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レセプトの電子化命令


 今朝の新聞の第一面の見出しです。”規制改革、レセプト年内に電子化”だって? 小泉首相の諮問機関「総合規制改革会議」からの医療分野の中間報告として、

 1)今年中に医療費のレセプト(診療報酬明細書)を原則電子化する。

 2)今年度中に医療機関の広告を原則自由化する。

 3)来年度中に各医療機関の経営情報を開示するしくみを作る

と云う案を明らかにしました。これらはいろいろ問題をはらんでいますが、タイムスケジュールを明示してなし崩し的に強引に進めようとする魂胆が見え見えです。これからまた我々医療機関は大変なことになりそうです。
 レセプトの電子化について、この新聞記事にはこう書いてあります。”大半は手書きで作成されており、かなりの水増し請求があると見られている”と。ホントにザケンジャアネエヨ! これを素直に読むと、手書きだからかなりの水増し請求がされているように聞こえますけれどね。 ”かなりの水増し請求があると見られている”と云う文章にはホントにこの記事を書いた奴の悪意が見て取れます。これぞマインド・コントロール、そう偉い尊師様が使った手ですよ。これを使えば人殺しまで出来るんだから。国の役人の方がよっぽど水増し請求して私腹を肥やしているじゃねえか? つい最近も逮捕者が出たばかり。人のことをギャアギャア云う前に身内のことをしっかり見張れってんだよ! 今から開業する先生はレセプトコンピューターを導入しない人は殆どいませんよ。開業する上で必要な機器の筆頭にレセプトコンピューターが書かれているのが現状です。当院は昭和40年代(父の時代)からレセコンを使っています。それもぼったくりの銀行のコンピューターを使って。でも”年内に医療費のレセプトを原則電子化する”ってのは物理的に無理ですよ。父ちゃん母ちゃんでやっている開業医もまだまだたくさん、そんなお年寄りの先生が政府の号令で即座にコンピューターの操作ができるようになりますか? レセコンだって何百万もするんですよ。レセコン使っている医院だけ査定で締め付けようとするならば、私は声を大にして騒ぎますよ。「不公平だ!」ってね。そもそもこちらの病名洩れなどのうっかりミスを良いことにドンドン支払額を削っているんですから。こっちが文句云えば返事が返ってくるのは1年後。いつぞやホントに頭に来たときには「こっちから出向くから査定した奴の居場所を教えろ。」と云ったのですが、それは条約上出来ないって。表にも出て来られない奴が陰でコソコソせこいことするなってんだよ!
 
 実は以前にもちょっと書いたことがあるんですが、今試験的に日本医師会の外郭団体がこのレセコンソフトの開発をしています。恐らくはもう一部の医療機関で動き始めているはず。どうやらWindowsではなく、もちろんMac OSでもなく、Linuxで動くらしいのですが、決してこれはレセコンメーカーを出し抜くためではなく、医師会がこのデータを集計していろいろな統計処理をして、我々医療機関の傾向と対策に役立てたいと云うのが一番の目的らしいのですが。最終的にカルテと連動してデータを一元化出来ればと思っているのではないでしょうか? でも、キーボードに触れたくもない年老いた先生がやっている医院もあるでしょうし、全ての医師がコンピューターを操作していると云う状況になるまでには未だ相当の時間がかかるであろうことは容易に想像がつきます。ホントにそんな時が来るのか? って懐疑心も。最初の新聞に出ていた”規制改革、レセプト年内に電子化”は唯一医療費削減を目的にしているのは見え見えだし、ここで国側と医師会、ひいては医療機関と意見が対立するのは目に見えています。まあ「総合規制改革会議」と云う我々からはほど遠い訳の分からない団体(大手営利企業の社長さんが議長? こいつらもいずれ悪名高き特殊法人に格上げ? そして多額の退職金?)がいくら号令をかけたって、出来ないものは出来ませんよ。わざわざレセプトの点数を査定されるために、キーボードもいじれない先生が何百万も出して新しい機械を買って、なおかつ操作法を覚えて、それも年内に? 何を寝ぼけたことを云っているんだよ! こんな会議の人件費の方がよっぽど無駄じゃない?

 私もこのLinuxで動く新しい統一ソフトには興味はあるのですが、今更また新しいソフトの操作法を当院の女性達に覚えさせて再スタートってのもなかなか難しいと思います。LANにも対応していて、しかもまず第一に無償で配布ってのが魅力的だと思います。でも当然レセコンメーカーは黙っていないでしょうね。正に飯の食い上げですから。或いはそれと共存していく道を選ぶのでしょうか? そうするにはあまりにも大きすぎるマーケットだとは思いますが。まあ新聞の第一面に出ていたことがかけ声だけで終わるのは目に見えていますが(もっとも原則としてとのことですから出来ない医療機関は免除ってことになればまた大問題です。もしそうなら当院はレセプトを手書き業者に委託しますよ)、こんな無茶苦茶なことを新聞に大々的に掲載されるほど医者は嫌われているのかと、また被害妄想の気分になっちゃいますけれどね。別の項目に書きましたけれどここにも書いておきますね。日本の総医療費がGDPに占める割合は世界先進国の中で23位(先進国って23ヶ国もあるの?)なんです。日本の医療は安いんですよ! 今国は国民皆保険を解体しにかかっているんですよ。もしそうなったら盲腸の手術で100万円の負担になりますよ。医療に関わりを持たないで済む人はいないんですから。