入札
前々から文句を云っていますが、とにかく医療器械は高い! 一つ機械が壊れるともう私の心臓はバクバクです。過日、永年使ってきた腹部断層撮影装置(エコー)の機械が壊れました。12年も使いましたから。寿命と判断しましたが、一応メカの人に来てもらい診断を仰ぎました。初めは3つある基盤のうちどれか一つが壊れたのだろうとのこと、しかし試しに基盤を全て正常なものと交換しても直りません。結局電源がダメとのこと、直すのに30~40万、しかしそれだけの支払いをして直す甲斐があるかどうか疑問、直した挙げ句にまたすぐ壊れる可能性も充分あり、また古くなってきたので画像も今ひとつの印象、熟慮した結果新しいものを新たに購入する決心をしました。やはりこのような高額な機械を買う時は、複数の候補を立てて競争させるのが原則、こんな機械は必ず壊れますので、ただ買うだけではなく、その後のアフターケアが充分充実しているか? もちろんその機械が値段に見合う性能を持ち合わせているかも大事な要素ですが、そんなハード以外にソフトの部分でも充分な検討が必要になってくるんです。もともと腹部断層撮影装置(エコー)の機械はどこどこ製が良いと云うのはある程度頭に入っています。それを含め、普段私の所に別の機械について出入りしている業者2社に矛先を向けて選択していくことになりました。正に当院における入札になるわけです。私の一声でお薦めの機械と見積もりは数日で出来上がります。要はそれからが大変なんです。今私は金銭的に全然余裕がないので、購入に当たってはリース、若しくは割賦で賄うことになりました。見積もりが出た時点で税理士さんにどのような購入の仕方が固定資産税、減価償却も含めて有利かどうかMailで尋ねます。すると数日で、いろいろなケースに分けてこうならこの方法が有利と clear cut な回答がやはりMailで帰ってきます。
実は!リースに関しては2ヶ月前にもの凄くイヤな想いをしてカッカと来ていたところなのです。通常60ヶ月リースの料率は1.7~1.9%、仮に1.8%の料率とすると1.8×60回で108%、6年で8%の利益がリース会社に入るわけです。300万の機械なら24万、これが高いのか安いのかは私は判断しかねますが、もともとある潤沢な資金を元に顧客にお金を貸すことによって利益を得ている訳です。一方私のような顧客側にとっては、1度に買えない機械をリース会社から借りて使うことになります。そして何より有利なのが減価償却の面倒な計算をせず(もともとその面倒な計算をするのは私のところの顧問税理士さんですが)、毎月の支払いを経費として所得金額から除外できること、つまり節税対策にも繋がるわけです。そして60回の支払い、つまり5年間の支払いが終わると、あとは年に1回1ヶ月分の再リース料を払っていけばとりあえずその機械を継続して使っていけるのが慣例、私が開業して間もなく、ただまとまったお金がないと云う理由で内視鏡をリースで買い求め、結局10年以上使いました。原則医療機械の償却期間は5~6年、つまりその期間でだいたい機械の寿命が来ると云う計算になります。しかし大病院と違って、私のところのような零細診療所はそれほど機械を使うチャンスがなく、リース料金と見比べながら購入を考え、そして幸いなことに当院のように毎日少しずつ酷使しないで機械を使っていくと、案外機械は長持ちするものなんです。大学病院のように毎日20人も30人も同じ機械で検査をしていくと、やはり機械の寿命は短くなるもの、ましてや資金豊富な大病院は古くなれば新しいものに替えれば良いと云う頭になりますし、個人が所有するものではありませんから、私に云わせれば機械に愛着がなく、時に粗暴に扱われることもないわけではないでしょう。そんなことで、私自身が機械を購入するときは非常に慎重に、出来るだけ良いものを、永く使えるものをと考えるのが当然です。となればリース終了後のことも当然視野に入れて計算していきます。ここのところが顧客の多くが大病院であるリース会社には分かっていません。リース終了後、その機械をどうするか? 私がリースで機械を購入するときはそこまで視野に入れて考えます。減価償却で優遇される反面、リース終了後の扱いには様々な法律的な縛りがあるようです。もっとも私はその辺のところに詳しくないのですが、多くの場合、1~2回再リース料を払えばその機械は譲ってくれると云うのが慣例のようです。もともとリースが終わり、償却し終わったような古い機械をリース会社が引き取ったって処分に困るだけ、まさか6年7年経過した機械を整備してまた他に売りつけたって利益が出るものではないようです。最初に書いた内視鏡のリースは私が開業を初めて間もなく始めたもの、知識がありませんからリース終了後も1年毎に再リース料を支払って、結局6回の延長をして機械の寿命を迎え、新しい内視鏡の機械購入に至りました。しかしその間少し私は利口になりました。リース終了後のこともリース会社と話を決めてから購入するようになりました。”2ヶ月前にもの凄くイヤな想いをしてカッカと来ていた”と云うのは、その約束を反故にされたからなのです。7年半前に私はコンピューターに接続できるカラープリンター・コピー複合機をリースにて契約しました。今でこそそれと同等、もしくはそれ以上の性能の機械が一括で買えるくらい値段が下がってきましたが、当時は今の5~6倍の値段でした。例に漏れず、結局再リースを1回やったらその機械を私に譲ってくれると云う約束の元に契約しました。しかし不幸にしてリース終了時、そのリース会社は倒産し、他の会社が権利を引き継ぎ、私はそこに支払いをしていました。そして再々リースの請求が来たときに私は会社に連絡を入れ、そのような約束をしていた旨話しましたが、「そんな約束をするはずがあり得ない。」「それはそちらの勘違いだろう。」とけんもほろろです。ずいぶんこのトラブルは永く引きずりましたが、私はお金のことよりも約束を反故にされたこと、そしてまるで私がウソとは云わないまでも勘違いしていると云われたことにものすごく腹を立てていました。実際にはリース終了後のことは契約書の中に記載することは法律的に不都合があり、私は証拠として名刺の裏にその旨書いてもらうか、信頼できる中間業者に証人になってもらうようにしていますが、なにさま証人となる会社が倒産してしまっているので、証拠がありません。結局約束外の支払いをして(それも大した金額ではありませんが)一件落着になりましたが、私は腹の中にくすぶるものを持っていました。そして今回新たに購入した断層撮影装置(エコー)のメーカーの系列会社がそのリース会社であり、中間業者にそのリース会社を使うと後でもめることになるから他のリース会社を使うように支持していたにも関わらず、いざ契約の段階になってそのリース会社を使うとのこと、約束を守らない相手に対してどれくらい私が腹を立てているのか業者には理解できていなかったようです。結局リース会社の部長までもが担当者とがん首揃えて誤りに来院しましたが、私にとって謝られて許せる問題ではありません。私は約束を守れない人間とは付き合いたくないのです。結局系列であるメーカーが本体の5%をディスカウントし、他のリース会社と契約することで決着が着きました。ただ医療のみに携わるだけではなく、機械の購入に関してもこんなストレスがあるんですよ。