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看護婦の資格

 過日の日記にナースの就業について書きました。確かに我々医療機関にとってはナースがいないと仕事は全く動きません。全体的に人件費が上がっていく中、ナースの確保と云うのは切実な問題です。しかし、そんな窮状の中で我々医療機関の悩みを逆手にとって暗躍する輩がいるのも確かです。時々私のところにもダイレクト・メールが来ますが、看護婦の紹介、斡旋をすると云うもの。まことしやかに一部にAVのごとくぼかしを入れた名簿に候補者の名前、年齢、住所、電話番号、最終学歴等が記載され、紹介する旨送られてきます。中には業者と看護婦が連んで高い紹介料を巻き上げ、暫くすると何かと理由をつけて辞めていくことがあるんだそうです。もちろん紹介料が勤務期間の長さに関係なく、返却されることはあり得ません。だから私は声を大にして云いたいと思います。医療機関とナースとはお互いに雇用関係だけで結ばれるものであって、ハイエナ如きの第三者が入ってくるな! と。そもそもこんなところに登録して待機しているナースなんざろくなもんじゃね~よ。今ナースは何処でも人員不足、資格を持っている人間がその気になれば明日からでも仕事にありつけるはずです。私は看護学校の講義の一番最初に生徒達に話しています。医者がこれからの時代、仕事がなくて食いっぱぐれることはあっても、看護士、看護婦は食いっぱぐれはありえないと。今現在、資格を持っていながら、家事や育児に追われ、或いは人生に疲れ、その資格を使っていない有資格者がごっそりいるんです。そんな潜在的な有資格者を我々医療機関や国、地方自治体などの機関がアシストして人材を掘り当てていけば、現在の人員不足はかなり改善されるはずです。今眠っている免許は、看護婦、看護士免許の4割とも6割とも云われています。そこへ保険医療の財政不足などと目先のことばかり捕らわれているバカどものお陰で、せっかくの有資格者が仕事をする気にもなれないような労働環境しか作れない現状になっている訳です。日本が世界に誇る国民皆保険も今や崩壊寸前、看護婦達も膨大な時間外労働に過酷な労働条件、そしてなおかつ低賃金、これでは大衆がかかる医療において良い結果をもたらされるはずがありません。それではどうすれば良いか? まず私は看護婦、看護士のステータスを上げるべきだと思います。ようやく看護大学も少しずつ増えてきました。もっと大卒の看護婦、看護士を輩出すべきだと思います。まだまだ看護大学に行く人間は僅かです。看護学は立派な学問です。そしてこの人材達を単に労働力としてしか考えていない医療機関にも責があると云わざるを得ません。しかし、一方で看護婦、看護士達にもその自覚を持ってもらう必要があると思います。私の個人的な印象ではありますが、看護学校に来る生徒でドロップ・アウトしてしまう者は多いと感じています。確かに中学なり高校なりを卒業していきなり解剖学や生理学、病理学をごく短い期間で詰め込まれていくのは大変だと思います。医学部の学生が1年半かけて学習していく内容を、僅か半年で修了しなければなりません。私の教えてきた範囲を見ても、その内容は決して医学生よりもはるかに浅いと云えるものではありません。ましてや、医学部の場合には高校で理科系の大学受験のための準備をしているのに対して、看護学生は特に文系のみの教育でそのままダイレクトに医学に移行してしまうわけです。これはものすごく大変なことです。しかし、そんな学生の9割以上が2年、若しくは3年でいきなり医療現場に投入されてしまうような資格を手にし、そして第一線で働いているんです。資格を取るのに、もの凄い知能を要求される訳ではありません。むしろ現場に行ってから勉強して覚えていくことの方がたくさんあるんです。遠慮なく云わしてもらうなら、看護婦、看護士の人材は良くできる人間と全くダメな人間と二極分化されています。ホントに使い物にならない人材も私は経験しています。だからこそ、立派な戦力になる人材に資格を取ってもらいたいと思うし、安易な気持ちで、これしか道がないからと云う理由で患者さんに触れて欲しくはないと考えています。
 現在の医療環境は悪くなる一方です。人の命を預かる医療現場、これすら聖域に出来ない無策な政治に憤りを感じずにはいられません。ましてやこれから保険医療における患者さんの負担も増加してくることが確実です。劣悪な環境の中での過酷な労働条件である看護婦、看護士はそれは大変だと思いますが、是非我々医療機関側とともに頑張ってもらいたいと考えています。