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オリンピックの商業主義

 このGrumbleを書いている日にソルトレイク冬季オリンピックが閉会式を迎えました。私は小学校1年生の時が東京オリンピック、今でもモノクロテレビで見た当時の様子を僅かに覚えていますが、今やハイビジョンの高画質で見る鮮やかな色のオリンピック、それを取り巻く環境には隔世の感がありますが、オリンピック自体も大きく変遷してきたように思えてなりません。記録はドンドン塗り替えられては来ましたが、また一方で決して思わしくはない方向に進んできてしまったのも事実です。日本ではそれほどでもありませんが、諸外国ではゴールドメダリストは生涯国から恵まれた環境を与えられ、また最たる資本主義国のアメリカでも、ゴールドメダリストには様々なビジネスチャンスが与えられ、成功する人が多いようです。かつて水泳の金メダルを総なめにしたマーク・スピッツ選手はスイミングスクールを経営し、巨万の冨を得たと聞き及んでいます。世界一に輝いた人の下にはまたその人に続こうと同じ目的を持つ将来のオリンピック選手が集まるのは当然のことと思います。しかし、オリンピックで勝つことが即大きなビジネスチャンスに結びつくことが、欲尽きない人間を変えてきてしまったのも事実ではないでしょうか? それも廻りに多くの人を巻き込みながら。オリンピックが商業主義に短絡的に結びつき、そこに群がる人間のドロドロした部分が見え隠れするようになってきたことを私は非常に懸念しています。
 今回の冬季オリンピックはいろいろなスキャンダルが出てきました。審判の不正、選手のドーピング、結果を不満とする提訴等々、今まであまりなかった人間の醜い部分が見えてくるようになりました。良い成績が取れれば、それがまた大きなビジネスチャンスに結びつくことが薬を使ってまでのし上がろうとしたり、判定に不服を持って訴え出たり、はたまたその判定をする人間にまで手が及んでくる、そんな悪い方向へドンドン突き進むことによって、オリンピックに対する世界の目が変わり、更に気持ちが遠のいていくのではないかと心配です。確かに前会長のサマランチ氏は、オリンピックに商業主義を導入し、莫大なお金のかかる放映権を巧く操り、職業選手を参加させ、それなりに成功してきたと思います。しかし、これは正に10年前に日本経済が経験したバブルと同じ構造ではないでしょうか? そしてこのバブルがはじけたときに、ただ純粋に競技に没頭してきた選手達をただ傷つけるだけではないのかとなおさら不安が募ります。時に今回のコラムにも書きました採点競技が、仮にもその商業主義によって結果がねじ曲げられるような結果になれば、もうその競技は死んだにも等しいことになりはしないでしょうか? サマランチ氏に引き続いてIOC新会長に就任したロゲ氏はものすごく潔癖な人だと聞いています。だからこそ、今回の冬季オリンピックの終盤にはドーピングによってメダルを剥奪された選手が相次ぎました。それを良からざるべく思っている人もいるようです。そもそも今回の冬季オリンピックはテロによって大きく傷ついたアメリカの威信をかけた、また強いアメリカをアピールする場にすり替えられたような報道をする人もいます。しかしアメリカが主役になった訳ではありませんからね。恐らくロゲ氏にはこれから大きな困難と苦悩が付いて廻るものと私は考えています。選手達はまた未来へ向けて再出発するのみ。目指すゴールが汚れているものではあまりにも可哀想ではありませんか? 難しいとは思いますが、もう一度原点に立ち返る勇気が必要だと思いますし、またそうすべき時期に来ているような気がしているのは私だけでしょうか? 少なくもテレビで見るだけでも興奮するような素晴らしい競技を続けていってほしいと切に願っています。