日本の国力が弱くなる
フリーターの数が激増、そして定職に就かず、更にはアルバイトもやる気をなくしている無業者と云う若者が猛烈な勢いで増えているんだそうです。未だ抜け出せない不況の長いトンネル、国の景気に対する無策ぶり、小泉さんの頭には総裁再選しかない現状を見るにつけ、働く気がなくなるのは充分に理解できます。しかしこのまま若い人達が働かなければ、いろいろな知識や技術、伝統を受け継ぐ人がいなくなり、日本の国の力として大きな損失になることが懸念されています。
私は中学校の校医もしていますし、看護学校で講義も持っていますし、そして若い人も雇って仕事をしています。つまり12・3歳から高校へ入る15歳くらいまで、そして高校を卒業して20歳代、更に二十代半ばと、若い人とつき合う機会はたくさんあります。そしてそんな若い人達を見るにつけ、やはり私の10代、20代とずいぶん違うように感じています。中学生は不登校が多い、看護学校でも退学者が多い、そして我が診療所でも仕事が辛いと云ってすぐに辞めてしまう、そんなすぐにドロップ・アウトしていく若者をたくさん見ています。まるで年寄りの小言みたいですが、私がその年代だった頃には、そんなに安易に学校や職場を離れることはなかったように思います。中学高校では不登校は殆どなかった、大学では退学していくのは本当に付いて来れないごく一部、そして仕事に就くようになってからは仕事が忙しいなんて愚痴る暇もありませんでした。転職をサポートするような女性向けの雑誌が出版されて以来、日本の若者の就業に対する考え方が大きく変わってきたような気がしています。
その一方で雇用する企業の側も従業員に対する考え方がこれまた大きく変わってきたような印象を受けます。終身雇用と云う考え方が揺らぎはじめ、会社存続のためには結構残酷なことをやってのける、もっとも今のこの不況下にあってはやむを得ないものであるかも知れませんが、仕事が出来ない社員を置いておくだけの体力がなくなってきたのも一つの原因ではないでしょうか?
今頻繁に起こる犯罪の報道を見るにつけ、逮捕される容疑者の多くは”無職”、それも20代、30代でありながら、一体どうやって飯を食っていたんだろうと思わせるような経歴の者が多くなってきました。無職であるから犯罪に走るとは考えたくはありませんが、やはり雇用の充実も犯罪防止に一役買うのではないかと考えてしまいます。
先日日本橋の老舗の天ぷら屋さんに行って、本当に巧みの味を堪能してきました。年老いたご主人とその奥様らしき人、そしてその息子さんであろうちょっと若い男性もいましたが、そんな巧みの伝統を息子さんが継承しても、あんな日本橋のド真ん中にある一軒家のお店を相続して相続税が払えるのだろうか? そんな心配をしていました。今や伝統ある老舗が重い相続税のため絶えてしまうことがよくあるとのこと、無駄遣いばかりして税収のことしか考えていない国にとってそんな伝統よりも現金収入の方が大事なのでしょうか? 国は若者が働かないから国力が弱まると愚痴りますが、若い人が働く気になる環境、良い伝統を受け継いで頑張れる環境を維持するのも国の仕事だと考えます。しかし腐った奴らばかりが権力を求めて赤い絨毯の上を闊歩するような国、やはり”日出る国、災い近し”なのでしょうか? 本当に我が子が生きていかなければならない将来が不安でたまりません。