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時間がない!



「Taste」の「水槽公開第2弾」の中で書きましたように患者(こういう時は患者さんとは云わない)から「ヒマだな~。」と云われたようなので、それに反論してこのコラムを書くことにしました。私自身、時間を非常に大事にしているつもりです。時間というものは、どんな人にも平等に配られています。だからこそ、与えられ、限られている時間を如何に大事に使っていくか、その使い方によってその人の生き方、或いはチャンスをものにするという命運までもが変わってくると信じています。勿論、若い人は若い人なりに、私と同じ時間を使って働いても時給というものは違うでしょう。しかし経験を積むことによってその時給はどんどん増えていくわけです。よく人は時間がないと云ってフウフウ云います。確かに絶対値としての仕事時間なり、自由時間なりが不足している人も中にはいるでしょう。でも私を含めて、時間がないよりは時間の使い方が下手だと云う人の方が多いんではないでしょうか。マイケル・J・フォックス主演の「摩天楼は薔薇色に」と云う映画の中の主人公が会社重役に面談を求めるシーンで、「5分だけ僕の話を聞いてください。」と懇願する彼に「2分だ!」と答える場面があります。実際分刻みでスケジュールを組む人がいることも確かでしょう。しかし多くの人はそこまでせっぱ詰まっているとは思えません。
 時間の有効活用、これには上手い人と下手な人とがいます。上手く時間を使っていく方法、これは結構巷の本にもいろいろ書いてあります。例えば私はよく都心へ出るため電車に乗っていきます。特急で20数分、しかし各駅停車で行くと40数分かかります。特に何時までに行かなければならないということがなければ、少し時間の余裕を見て、各駅停車に乗って座りながら40数分の時間を得ることが出来ます。その時間に本を読んだり、資料に目を通したり、或いは座っていればものを書くことすら出来ます。基本的に移動している間に何もしなければ、それは大いなる時間の無駄になると考えています。つい最近まで、次男の塾が終わる時間(夜9時、10時になります)に女房が車で迎えに行っていました。しかし私はこれを止めさせました。電車とバスに乗って帰って来い!と。そしてその中で、本を読みなさいと次男に申し渡しました。
 一方で何もかも忘れてボ~っとしていたいと云う時もあります。勿論時間に追われてばかりいて疲れきってしまえば、その後にやる仕事というのは効率悪くなるはずです。十数年前、新婚旅行ではバリ島に行きました。研修医時代、確かにこの時は時間を作ることが下手な上に、ただただ時間に追われヘトヘトになる一方でした。だから向こうではあちらこちらへ移動せずに、浜辺で寝っ転がってのんびりしたいというのがまず先決でした。履歴書の趣味のところで、旅行(南の島が好き)と書きましたが、浜辺のビーチチェアに寝っ転がり、青い海を見ながらWalkmanでTUBEの歌を聴くのが大好きです。本当に生きていて良かったと思える瞬間でした。これは充電ですから、時間の無駄とは考えていません。その後にはまた効率よく仕事が出来るわけです。つまり、一生懸命仕事をやる時とリラックスする時とメリハリをしっかりつけること。これも云うなれば時間を有効に使うテクニックと云えると思います。
 だからこそ、逆に人に待たされ時間を無駄にせざるを得ないことに対し、非常に憤りを感じます。まだ結婚前、今の女房との待ち合わせの際に遅刻され、待たされてよく怒りました。基本的にデートの待ち合わせは15分しか待ちません。待ち合わせというのは、5分前に行くのが礼儀と思っています。それ以上連絡なくして現れなければ、基本的にデートはキャンセルです。最近の若い人(こう云うといかにも自分が年をとってきたことを自覚するのですが)にそんな傾向が強いように思えてなりません。当院では時々職員の欠員補充のため、職員募集をかけます。医療事務、受付スタッフ募集の時には比較的人気のある業種なのか、1人募集のところに20名くらいの応募があります。このような時には面接を行うのですが、面接の約束時間に遅刻してくるような人は面接での点数がどんなに良くても採用は絶対にしません。かつて二十歳の女性が15分遅れて来ました。相手を傷つけないよう(もう遅刻の時点で不採用は決定ですから)それとなく、あなたのような若い人はうちにはもったいないからと柔らかく断りました。彼女は時間の無駄だったと捨て台詞を吐いて帰りましたが、たかが二十歳そこそこのだらしない小娘につき合わされたこちらの方がどれほど無駄なことだったか、彼女は知る術もありません。父は私に対して時間を守ることに厳格でした。だからこそ私もこのような考え方になったのかもしれません。しかし、そんな父と代々木スケート場へアイスホッケーの試合を見に行くことになり、スケート場の入り口で待ち合わせることになりました(もっとも私はアイスホッケーより隣の代々木第二体育館で行われている実業団のバスケットボールの試合を見たかったのですが)。父は約束の時間を15分過ぎても現れませんでした。私は自分の父親までも見限りました。15分過ぎてから第二体育館の方へ入りました。家についてから父は私を叱りましたが、私は反論せず無言のままでした。「時間にルーズな奴」とレッテルを貼られてしまうことは、結局本人にとって損になると思います。こういう人はだんだん仕事の上でも相手にされなくなるでしょう。こう書いた以上、私にも反省すべきことがあります。午前、午後の診療開始時間については自分の主張と矛盾するところがあるように思います。これを機会に、定刻に一人目の患者さんを診察室に呼び入れるようにしようと思います。