バリアフリー
バリアフリーと云う言葉をよく聞かれると思います。そう、当院のHPのトップページにもBarrier free!と書いてあります。広い意味では”入りやすい”、もっと狭義では、”体の不自由な人にも利用できるような”或いは”段差がない”と云うような意味で用いられます。”障壁から解放されている”ことなのです。トップページには両方の意味で使いました。皆さんお気軽に当院のHPを利用してくださいと云うことと、当クリニックが車椅子でも楽に入れますよと云う意味を掛けています。最近ではそんなクリニックが増えてきたように思います。ビル診療でもエレベーターで上り下りしたり、階段の横にスロープを設けているところを結構見受けます。やはり階段を数段上ってクリニックの玄関と云うのは利用しにくいですね。ただそうすると、ゴミや木の葉がクリニック内に入り込んできたり、大雨が降るといろいろ支障を来すことがあります。私のクリニックもそんな悩みはあるんです。毎年落ち葉の季節になると、クリニックの玄関前に吹き下ろしの風が吹き込むことと相まって、大量の枯葉が風除室に入り込み閉口しています。一昨年アメリカ製の強力なブロアーを購入し、枯葉を1ヶ所に集め、その後大きな袋つきの掃除機で一気に吸い込んでしまうようにしました。効果はなかなかで、初めは私の子供達が喜んでやっていたようなのですが、どうやらもう飽きてしまったようです。昨年はあまりやってくれませんでした。小遣いでも奮発しなければダメそうです。
当院では5年前に診療所1階部分の改築を行った際、このバリアフリー化も一つの大きな課題でした。業者に頼んだのは、とにかく段差をなくすこと。院内をスリッパでなく、土足のまま入れるようにしたのもそれが理由の一つです。それから入り口のドア等通路を車椅子でも楽に通れるよう広めにとること、床面積の都合上、身障者専用のトイレを作ることは断念せざるを得ませんでしたが、男子用のトイレを広めにとって車椅子で入れるようにし、洋式の便座とし、手すりを充分に付けること等を注文しました。女性の車椅子の患者さんであれば、当院スタッフにその旨申し出ていただければ、男子トイレを使ってうまくお手伝いできるようになっています。排水の構造上、女子トイレの中にわずかな段差が出来ましたが、それ以外はほぼ私の満足できるような構造になったと思っています。それ故か、車椅子の患者さんにも結構来院いただけるようになり、その人達からお褒めの言葉をいただき、院長としては非常に嬉しく思っています。診察室へは車椅子のままストレートに入ってきていただけるようになっています。アメリカではそのように施設改善を要請する協会があり、自ら身障者である会長が町を廻って様々な要請を国や市、町、或いは個人に出しているところがテレビの報道番組で放映されていました。
ずいぶん法律も整備され、このような方々にも快適な生活を送って貰えるよう、いろいろな義務づけがなされました。電車の駅、デパートやホテル等では身体障害者用のトイレやエレベーターの設置がだいぶ進んできましたし、すぐに職員が飛んできて、様々な手助けをしてくれるようになってきました。バスも車椅子をそのまま持ち上げられるような装備をしているものが増えてきました。駅では一般の人も車椅子を一緒になって持ち上げて運んであげるような場面を目にするようになってきました。私が手伝おうと思っても、充分お手伝いする人数が足りていると云うような場面に何回も遭遇しました。
最近の新聞で電車の中に身障者用のトイレがないことに対して提訴した身障者の方の記事が出ていました。トイレの新設を求めるものなのですが、これは今の気運からすればいづれ改善されるでしょう。でもちょっと気になるのは、この身障者の方がそれが故に自分が旅行出来なかったことに対して、100万円の慰謝料を訴えの中で請求していること。ちょっとこれはスタンドプレーではないでしょうか? 前述のアメリカの協会の場合も、あまりの強引な提訴に町中の人々が文句を云っている場面も放映されていました。今は、そのような方々が気持ちよく社会で生活できるように求めていくことが大事であって、もし個人個人が恨み辛みで訴えを起こすようになると、せっかく社会が目を向けて動き出した気運に水を差してしまうのではないかと、私個人的には懸念してしまいますが、皆さんどうお考えでしょうか? 是非皆さんもこんなことをちょっと考えてみてください。