日本の成績表
先日駅の売店で買ったNewsWeek誌になかなか面白い記事が出ていました。”日本の成績表”と云うテーマ。一向に上向かない景気、他の国々に遅れをとり、若い世代もあまり頼りにならない日本を我々は嘆いています。確かに戦後のどん底から這い上がってきた急成長時代の日本は凄かったと思います。資源に乏しい日本は、資源を輸入して製品を造り出すことによって発展してきました。元からある資源にしがみついてろくな努力もしないで来たどこかの国に比べれば大したものでした。バブルがはじけて日本は低迷していきます。そして未だに暗い長いトンネルから抜け出すことが出来ずにいます。一方海外に眼を向けると、今でこそかげりは見えてきましたが、米国はまさに10年前の日本のバブル状態、物凄い勢いで発展をしている中国はもうかつての経済大国日本を見下しています。そして東南アジア諸国も急成長、ヨーロッパでは各国が手を繋ぎ、大きなマーケットを展開しています。自分のことしか頭になく孤立していく日本、いったいこれからどうなることやら。まさに私の頭の中でもこんな悲観的なことしか浮かんではきません。しかし! 今回のこの記事を見る限り(日本人ではなく、海外の有識者の意見です)、日本もまんざら捨てたものではないと云う評価を受けています。ここでは様々なデータを分析し、日本の国力が世界的にどの水準にあるのかを客観的な視点から述べています。6つの分野、つまり1)国際社会における求心力や国際化の程度を測るグローバル力、2)情報の量ばかりではなく利用者の成熟度までも示す情報力、3)未来を担う若い世代の可能性を示す次世代力、4)研究開発力とその成果の発信力を問う理系力、5)社会保障やや治安を含めた暮らしやすさを測る生活力、6)地球への配慮の度合いを示す環境力、を採点しています。
1)国際社会における求心力や国際化の程度を測るグローバル力
確かに日本はPKO等世界に貢献する場面では立ち遅れているような気がしてなりません。戦争放棄を明確にした日本国憲法、確かに過去の忌まわしい悪夢があったからこそ我々の先輩はその道を選んだわけですが(選ばされた?)、今や国際化が進み、国境が消えつつ(インターネットの世界では国境は消え、更にBlue Ribbon Campaneを始め、我が国独自の法律さえも及ばなくなってきています)ある現代、もはや日本が我が身の事ばかり考えていたのでは世界から嫌われ、取り残されていくのはやむを得ないことなのでしょうか? 戦後間もない頃の考え方はもう今では通用しなくなって来ているんですね。日本は自衛隊と云う独自の考え方を持っていますが、これは全く日本の勝手な考え方、諸外国から見ればこれはれっきとした日本軍です。それも世界で決して引けを取ることのない強い軍です。憲法で自らを守るためだけに存在すると規定されてはいますが、中国などから見れば、ましてや日本が中国にしてきた歴史を振り返ればその力が脅威であることは容易に想像がつきます。更に海外派遣を迫られている日本にとっては板挟み状態、押し進める米国と脅威と考える中国が話し合いでもしてくれれば良いのでしょうか?
それに加え複雑怪奇な日本語の難しさ、世界からは”悪魔の言語”と呼ばれている難解な言語が世界中の人とコミュニケーションを図るのに障害になっているように思えます。僅か26文字のアルファベットでも素晴らしい文学を表現できる英語、かたや自分の子供を見ていると何千も覚えていかなければならない漢字、文字の一つ一つが意味を持ち、しかも小学生は書き順までテストされる現実を見ていると、この時点で英語圏に対して大きなハンデを背負っているような気がします。更に日本語の発音は独特、東南アジアの知的階級層は殆ど流暢な英語を話すのに対して、我が国を代表する総理大臣が英語を話せない状況、日本は鎖国を永くしすぎたのではないでしょうか? 世界から立ち遅れていく日本、若い人達にはどんどん外国に勉強しに出てもらって、老害で苦しむ日本を救って欲しいと節に思います。
2)情報の量ばかりではなく利用者の成熟度までも示す情報力
日本はIT(情報技術)革命では大幅に遅れを取っているんですって。大幅とは思わなかったんですけれどね。確かに総理大臣がITは苦手と云う状況ですから。日本は携帯電話の分野では普及率はなかなか健闘しているのですが、パソコン普及率、インターネット普及率などはまだまだなんですって。まあ高校生も携帯電話を持っている時代ですからね。だから携帯電話で大量のデータを通信、処理できるようになれば、インターネットがそれほど普及しなくても代替えになるのではないでしょうか? 私の友人の中でも、E-Mailは携帯電話だけなんて人が結構いますものね。でもね、日本はやり方を間違えただけなんですよね。本当は日本は光ケーブルで世界をリードするはずだったんです。しかしこれでは日本にしてやられると考えた某大国が1960年代から開発してきた戦略用の武器を世に出したんです。これがインターネット、そう、だから某大国と云うのはどこか分かりますね。うまくやれば日本は世界をリードすることが出来たんですよ。そうしたら、今頃こんな不景気はなかったはず、自分のことしか考えていない奴が舵取りをしているから、大きなチャンスを逃してしまうんでしょうね。ようやく最近の新聞に光ケーブルの普及を目指す会社が活動を始める記事が出ていました。(しかし.......、ま~たNTTかよ?)
3)未来を担う若い世代の可能性を示す次世代力
「近ごろの若い者は」とは昔からよく云われてきましたよね。今の日本の若い世代は不登校やいじめ、犯罪や暴力がはびこり危機的な状況に陥っているように思われがちですが、案外海外の評価は「日本の若者の未来はそう暗くない」んだそうです。日本の小中学校は生産的な労働力を育てると云う意味ではアメリカより遥かに優れた基礎教育を行ない、それでも日本の若者取り残されてしまうのはゆとりがないせいではなく、高校、大学間の格差が広がっているからなんだそうです。そうかもね。アメリカでは大学は優秀、中等教育は二流、日本はその逆なんだそうです。しかし、日本人は全員が読み書きが出来ます。これってごく当たり前のことのように思ってしまいますが、諸外国ではそうでもないみたい。高校中退者がどんどん増加している昨今、次世代力が諸外国のように二極分化しないことを祈る気持ちです。
4)研究開発力とその成果の発信力を問う理系力
日本の科学技術力は世界のトップクラスなんだそうです。でも世界の期待に応えていないんですって。そうですかねえ? 今や急成長をしている東南アジア諸国、のんびりあぐらをかいている日本に危機感を持つのは私だけでしょうか? 10年後に同じ事が云えるでしょうか?
5)社会保障やや治安を含めた暮らしやすさを測る生活力
ここでは日本はなかなかの線と云う評価。まだまだ日本は良くなると云っています。ちょっとなかなかの線と云う表現には私は意義あり。最近のテレビの番組でものすごく腹が立ったことを覚えています。
先日テレビで脱税Gメンの一人がこんなことを云っていました。「脱税とは殺人に匹敵する重罪だ。」と。「強盗や盗みは被害者が一人や二人で済むが、脱税は国民全体が被害者になる。」と。いかにも逮捕権を手にして偉そうな顔をしたじじいが、節税と脱税の区別も曖昧なまま、人が死んでも一人や二人で済むとほざいていました。こんな奴が権力を持って一人歩きしていったら、日本は社会主義国になってしまいますよ。日本の政治にも行政にも国民は不在です。てめえの都合のいい時だけ国民なんて言葉を使うなよ! お前なんか国民のことなんて考えちゃいねえだろ! 如何にてめえの成績を上げるかしか考えていないくせに本当に腹が立つぜ!「被害者が一人や二人で済む」だってさ。殺される被害者だって国民だぜ! 一人や二人ならいいのかよ!
日本は税金が高いですよね。でもスウェーデンの方がもっと高いんです。でもスウェーデンは「ゆりかごから墓場まで」と云われる程社会保障が充実しているんです。税金のコストパフォーマンスを客観的に評価できるスケールはないんですかね? きっと日本は最低だと思うよ。
この項でもう一つ私は声を大にして云いたいことがあります。この記事には日本は「インフラは整っているし、水道水はそのまま飲める。夜もアメリカの都心ほど強盗やカージャックを心配せずに外出できる。病気になっても、国民皆保険のおかげで誰もがレベルの高い医療を受けられる。しかも、驚くほど安く。」ってあります。多くは語りませんが、本当にそうなんです。
6)地球への配慮の度合いを示す環境力
日本の立ち遅れている分野の一つと思います。ようやくエコカーや石原さんのディーゼル車に対する関税等あちこちに第一歩を踏み出そうとしている姿が見受けられるようになってきましたが、この改革は万人に痛みを伴うもの、なかなか思うようには行かないと思います。地球がどれくらい病んでいるのか? 過激なマスコミ報道に翻弄されてよく全体像が見えてきません。鯨の数だってそうです。本当に正確な数字が報道されているのでしょうか? 各組織や会社、団体が自分の利害関係を重視して情報操作をしているうちは上手く行かないと思います。私自身も懐疑的に見て、先導を走ろうと云う気には到底なれません。全て正直者が損をするような時代。正確なディスクロージャー(情報公開)こそがまず地球を救う第一歩ではないでしょうか ?鯨だって結構いるらしいと云う話しも聞きますけどね。
日本もまんざら捨てたものではないと云う外国有識者の裁定にちょっとホッとした思いです。でも日本人て何故か損をしているような気がしてなりません。これも国民性のなせる技だとは思いますが、遠慮深いことを美徳とする考え方、以前からある法律等、現在の日本が置かれている状況にそぐわないものから抜け出すことが出来なくて苦しみもがいている日本が、貧乏くじを引いているような気がしてなりません。アメリカの強大な力の傘下でぬくぬくと育ってきた日本、金は出しても血と汗は流さない日本、依然旧態然とした考え方から脱却しない以上、日本は世界から立ち遅れていくのは自明の理ですよね。政治がダメだからしょうがないと諦めモード? これから若い、前衛的な考え方をする人がリーダーシップを取ってくれることを切に望みます。例え暫定的と云えども、「自分が総理大臣になることは200%ない。」と云った人が出てこないことを心から祈りたいと思います。