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Dr.Tak流履歴書の書き方(メールのやりとりを通じて)


私は数多くのメル友を持っています。ホームページを通じて知り合った顔も知らない人、新たに出逢ってMailのやりとりが始まった人、昔からの知人で久しく会っていなかったけれど最近Mailのやりとりを始めた人などなど。もちろん、顔を合わせてのお付き合いの人とのMailのやりとりもたくさんあります。私より年上の人から若いギャルまで。そんな知り合った仲でも、医療相談や人生相談に乗ることもあります。今回は私とMailでやりとりしている若い女の子が、就職試験に先立って履歴書の書き方について悩んでいるとのMailをもらい、アドバイスを送りました。彼女に許可を得て、Dr.Tak流の履歴書の書き方を公開します。


赤字~♀
 黒字~♂(Dr.Tak)

 ................... 前略
 今、履歴書を作成中で困っています。履歴書って真剣に書くとかなり大変なものです…(泣)漠然とした理想は頭に浮かんでいるのに、それを言葉で繋ぎ表現出来ない自分に愕然としています。自分の無知さを一段と知らさせているようです。

 昔から本をあまり読まなかったのがいけないのか、物事を理論的に説明するのが苦手なんです。 

~これは僕は得意なんだけどなあ。


本をあまり読まなかった理由の一つに、作者の世界観にコントロールされるような気がして窮屈感をおぼえるのが嫌だったのです。今ではそれが災いしている気がします。『履歴書の書き方』などいろいろ見てはいるのですが、どれも「素直に書けばいい 」と簡単に書いてあるだけ! 素直にたんたんと理想論を書いても文にはなりません。そこが難しいから悩んでいるのに~。そんな部分を自分の言葉でテクニックを入れながら書けるからみんなキチンと就職出来る社会人になれるんだな~と落ち込んでいます。(泣)

 僕自身は履歴書を書いたことが殆どないけれど(ましてや就職のために)、当院の募集広告に応募してきた人の履歴書は山のように読んでいる。雇う側から云わせてもらうと、履歴書の善し悪しは一目瞭然、その人の性格、仕事が出来そうかなどが歴然と見えてくる。ただし、こちらがそれを本当かウソか見抜く必要が出てくる。だから逆に君の立場であれば、如何にウソがばれないように面接の準備をしていくことが重要。思いつくままに、履歴書の書き方のアドバイスを列挙するね。参考にして。

☆「素直に書けばいい」と云うのは真っ赤なウソ。素直に書いてこの就職難の時代に就職できれば苦労しない。例えウソでも自分を良く見せること(但し致命的なウソはダメ、例えば学歴詐称)、そしてそのウソが面接の時にばれないように準備すること。この二つに尽きる。採用されてからウソがばれたって大したことはない。自分の理想、性格的なこと等抽象的なことはなるべく自分を良く見せるように繕うこと。

☆たんたんと自分の良いところを見せながら、目立たないようにちょっと弱点をさらす。そしてその小さな弱点を仕事の中で克服していく努力をするような姿勢を見せる(これは雇う側にとっていじらしく見える)。これはちょっとしたテクニック。女であれば効果的、男だとマイナスポイントになる可能性も。あまり完璧なことを書くと、ウソつけ! ってな気分になる。ただしあくまでも小さな弱点をさりげなく。勿論これも致命的なものはダメ。弱点はその文章の中の真ん中か終わりの方に入れる。こう云う弱点があるんだけどと最初に書くとそれが目立ってしまう。

☆ これだけは絶対他人に負けないと云う自信のあるものをアピールする。他人との差別化を計る。特技でも性格でも(例えば粘り強いとか、何でも興味をもって熱中できるとか)自分が他の人とちょっと違うんだと云うことをさりげなくアピールする。あまり前面に出てくると、鼻についてくるし、ホントかよ? ってな気分になってくる。

 また賞をもらったり、他人から誉められたことを具体的に、しかしさりげなく書くのも効果的。その結果自信を持ってきた過程について触れるのも更に効果的。

☆ 志望の動機の中にも、前向きな姿勢、自分が更に成長したいと云う姿勢を盛り込む。仕事はもちろんきちんとやる中で、更に自分に得たいものがあること、例えばどんな人にも信頼される人間になりたいとか、いろいろな角度からものごとを見つめることが出来るようになりたいとか。何か目標を持っている人間と云うのは期待が持てる。通勤に便利とか、勤務時間が自分に合っているとかは絶対書いちゃダメ。

☆ 何か経験してきたことが自分をどんなに成長させたか? そしてそれを武器にして自分にこんなことが出来るとアピールする。例えば君はアメリカで生活していたことがあるわけだから、日本とアメリカの文化の違いを見て視野が広がった、そして視野の狭い日本人(本当に僕は狭いと思う)よりももっと国際的な眼でものをみることが出来る。だから会社の中でちょっと違った視点からものを見ることが出来るはずとアピールする。

 うちのある応募者の履歴書の抜粋。彼女はスキーが得意で、小学生にスキーを教え、自分でメニューを考え、それを実践して上司や小学生からの信頼を得て、それが又自分の自信に繋がったことが書いてある。もちろんスキーなどは診療所に関係ないが、そうやって自信を得た経験が、診療所の仕事にも応用できるのではないかとこちらは期待する。

☆君は就職に1年ブランクがあるからそこを突っつかれる可能性がある。まあ就職出来なかったことは素直に認めて良いと思うけれど、そのブランクの中で何か見つけた、成長したと云う文句を考えておくと、それが逆にアドバンテージにもなり得ると思う。あるいはそれを先に履歴書の中に盛り込んでしまうのも一つの手かも知れない。とにかく成長したい、前向きに行きたいと云う姿勢をアピールすることが大事。

☆特に責任感がある、粘り強さがある、笑顔で接することが出来ると云うことをアピール。特に笑顔と云うのは女の武器。その場を明るくする雰囲気を持っていると云うのも女の武器になるはず。それから几帳面であるように見せかける。例えば履歴書の記入欄、なるべく隙間を残さないように、目一杯書き入れる。学歴、職歴もなるべく詳しく書く。但し△△(彼女が学生時代バイトをしていて私と知り合ったパブの店名)のバイトのことは書いちゃダメ。E-Mail、携帯電話番号等全て必ず埋める。君の家はマンションのようだから、マンションの名前も入れる。○号の○○号室ではダメ。氏名のふりがな、ひらがなで書いてあれば平仮名で、フリガナとカタカナで書いてあればカタカナで書く。これも暗黙のルール。このルールから外れるとン?とチェックが入る。

☆履歴書の写真、これも結構大事。やはり女、美人に見える方が絶対良いに決まっている。履歴書を見るとき、やはり真っ先に顔写真に目が行くのは当然。インスタントで出来る奴ではなく、写真屋さんで撮ってもらうこと。それもカラーで。自分で写真が気にくわなかったら何回でもやり直し。

☆履歴書の用紙もなるべくたくさん書けるもの、項目の多いものを選ぶ。簡単なものでは相手に簡単なことしか伝わらない。さっきの応募者の履歴書には自己紹介書として卒業研究又は得意分野、学生生活を通じて得たこと、志望動機、性格・長所、趣味・娯楽、資格・免許・賞記録・特技などの項がある。むしろこれは書類が本人を助けてくれている。やはりそれらをギッシリ埋めていくべき。

ちなみに、質問は

Q:ここ数年、特に力を入れて来た事は何ですか。

Q:あなたのアピールポイントをお書き下さい。  などなど…ちなみに××新聞社です。(笑)      

 やはり力を入れてきたこと、アピールポイントは□□(彼女が出来ること)に尽きると思う。海外生活もさっき書いたように強い武器になると思う。君のバイトの中で、いろいろな人と話をして、それで様々な情報を得て視野が広がったと云うのも或いはアピールになるかも知れないけれど、相手が堅い××新聞社じゃリスクが大きく危険と考え、止めた方がいいと思う。もちろん君が大学でやってきたことと、これからの仕事をリンクさせることも必要。新聞社と芸術ではちょっと厳しいかも知れないけれど、そこのところは僕も良く分からないから、君がよく考えて。大学でやったことがまるで役に立たないのでは大きなマイナスになると思う。こじつけてでも上手く書く必要があると思う。

 インターネットをやっていると云うことも新聞社ならアピール出来ると思う。但しどんなホームページを見ているか、充分答えられるように準備していくこと。サラサラっと出てこなかったらそれだけでアウトになるよ。

 ××新聞て医者に敵意むき出しだからあんまり好きじゃないんだけどな。アドバイスとしてはこんなところかな?役に立つかどうか分からないけれど。また何か思いついたらMail送るね。もし大体の文章が出来て送ってくれたら添削してあげるよ。じゃあ健闘を祈る。

 私はこんなMailを彼女に送りました。現在日本は本当にひどい就職難、私は医学部を出てから就職で困った経験はありません。むしろ各医局がおいでおいでのラブコール。在学中の成績なんて全く関係ありません。そう、大学時代に良い成績だった奴が必ずしも良い医者になるとは限らないと思っています。ちなみに私の大学時代の成績なんざいつも留年すれすれ。一時期、就職については各会社の人事の奴らが”個性”が大事と声をそろえていた時がありました。今でもそんなことを云う奴がいると思うけれど、本当にそうか疑問に思うことがあります。あまり個性の強い人材は却って敬遠されるのではないか? と私は勘ぐっています。折しもかつての高度急成長時代、社会の歯車のひとつになりきり、文句も云わずに黙々と働く人間が歓迎されていたのではないか? しかしそうは云えないからかけ声だけは立派、と私はうがった考え方をしていた時があります。個性派が廻りと同調せずに歯車として違う方向やスピードで廻り始めたら、管理社会の中では巧くいかないのではないかと。こんな話を聞いたことがあります。面接の際に何を聞かれても一切返答せず、黙り込んだまま。担当者が怒って「もう帰っていい!」と怒鳴ったとき、椅子から立ち上がりながら「男は黙って○○○○ビール。」と云って出ていった学生が採用になったと。私くらいの年代の人ならこのビール会社が何処であるかお分かりだと思いますが。こんなユーモアを理解してくれる余裕も体力もある会社はもうあまりないのではないでしょうか? 現在の就職難の時代でも、やはり特異分子は嫌われそうな気がしてなりません。本当の人事の本音は何処にあるのか。むしろ図体ばかり大きくなって小回りの利かない会社よりも、いわゆるベンチャー(ベンチャーとは冒険と云う意味です)企業でこれから大きく成長していく会社こそが、そんな他人と違う考え方をする個性派を求めているように思います。アメリカのある超有名大学で起業家を目指す優秀な学生にアドバイスし、資金を融資してくれる投資家との仲立ちすらしてくれる講座があることを最近のテレビのドキュメンタリーで知りました。日本人は敢えて冒険をすることを避け、寄らば大樹の陰で行ってしまう人が多いとか。その違いは失敗することを恐れるか恐れないか、アメリカでは失敗することを決して恥とは思わず、更に失敗した人間にも度々チャンスが与えられると聞きました。そして投資家は10人に投資して、その中の一人でも成功すれば上出来と考えるのだそうです。まさしく国民性の違いでしょうね。彼女の希望する新聞社は最大手の一つですが、人生の先輩として成功を掴み取ってほしく、祈るような気持ちで成り行きを見守っています。