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女性の社会進出


 ある日、車で出掛けたら家の裏で郵便配達のオートバイとすれ違いました。オートバイを運転していたのは若い綺麗な女性、そしてその後大通りに出てからすれ違ったタクシーの運転手さんも女性、最近では教習車の女性教官や大型トラックを運転している女性もよく見かけます。私の大学時代、医学部の私の学年の学生約120名のうち、女子学生は10名足らず、しかし20年近く経った今では医学部の3割から多いところでは4割近くが女子だと聞いたことがあります。今まで男ばかりだった職種にもずいぶん女性が増えてきました。アメリカ軍に女性兵士が増えてきたことは最近よく報道されますし、南極へも女性が越冬隊として参加している報道を見たことがあります。女性の社会進出が一層進んできたことを喜ぶべきなのでしょうか? 一方でこの不況の日本では、男性の常勤の社員がリストラの憂き目に会い、むしろ女性のパートを雇い入れる企業が増えてきているとのこと、一般家庭でご主人が職を失い、代わりに奥さんがパート、非常勤の仕事で一家を養っていると云う事態が起きているんだそうです。しかしこれも困りものですよね。それならば男性が育児、家事をすることになる? 男性も育児休暇を取るようになってきたことから、違和感なく受け入れられるのでしょうか?
 私個人的には、女性に合う仕事、男性に合う仕事がそれぞれあると思うのですが、雇用機会均等と云うことはそのような考え方を否定することになりますね。かつて弱かった女性の立場を助ける目的で出来てきた考え方が、むしろ現場の実状に未だ合致しない部分があるように思うのですが、それを声を大にして云うとやはりお咎めを受けることになりそうです。じゃあ、レースクイーンならぬレースキングがいても良いし、キャバクラで指名を受ける男性がいても良い? 少なくも私は一人で飲みに出掛けたとき、余分なお金を出して男と話をしようとは到底思いませんがどうでしょうか? たまに”おかま”のいるお店にも行きますが、”彼等”は女性として我々客を楽しませてくれるのですから。
 ここ最近、ちょっと話がもつれた保険会社との交渉や、リース会社との話し合いでどうしてもこちらの言い分が通らず、「あなたの上司と話をさせてくれよ!」と云ったことがあります。別に女じゃ話ができないと云うわけではありませんが、権限を与えられていない女性スタッフと話をしても、いつまで経ってまとまるものもまとまらないとヘキヘキしたことがあります。まあ幸いにしてその2件とも出てきた上司と云うのは男性でしたが、一方で例え男でもうまく話が進まないと云うことも経験しています。私の高校の後輩に某一流商社に勤める女性キャリア・ウーマンがいましたが、彼女は単身で海外に渡り、億単位のプロジェクトの契約を勝ち取って来ていましたし、私の親戚の若い女性でやはり単身アメリカ中を駆け回り、上司からの信望も厚く、アメリカ中を駆け回ったマイレージで両親、兄弟にハワイの家族旅行をプレゼントしたなんて話も聞いています。高校の後輩の女性は、テレビのニュース番組の特集で取材を受け(確か”男女雇用機会均等法、その後”と云うテーマだったと思います)、その際に出てきた彼女の上司が「彼女を女と思っていない。」と云っていました。男女の区別なく仕事を任せ、彼女は立派にその責務を果たしているとのことでした。
 数年前、男女雇用機会均等法が施行され、だいぶ世は様変わりしてきました。でもこの法律が施行されたとき、私個人は戸惑ったことがあります。診療所の受付スタッフを募集するのに、募集広告に”女子受付事務スタッフ募集”と書いていたのですが、男女雇用機会均等法施行直後に募集広告を出したときに、広告の原稿にそのように書いたら広告代理店の担当者から「先生、今こう書くと法律違反になっちゃうんですよ。」って云われてしまいました。もともと男女雇用機会均等法は女性の社会的な立場を擁護する目的でできたものと解釈していましたが、男性と分け隔てなくと云うことなら彼の云うことももっともです。募集広告には”受付事務スタッフ募集”としましたが、これでは男性が応募してくる可能性も出てくるはず、まあ当院の受付に男性に座ってもらおうとは思っていませんが、もし募集広告を見て男性が応募してきた場合、男性であることを理由に雇わないと云うことはこれまた法律違反になるとのことでした。難しいですね。結局男性の応募は今までにはなく助かっていますが。私が今講義を持っている看護学校では半数近くが男子生徒、中には4年制の大学を卒業して一度社会に出たのに、また看護学を勉強して看護になることを目指している生徒もいました。そして今や看護婦、看護士ではなく、男女の区別なく看護師と呼ぶようになってきました。私が勤務医時代に夜のアルバイトに出ていた救急病院では、救急外来に男性の看護士がいて、意識のない患者さんをベッドに移す時などは力のある男性で重宝していましたし、また彼等は非常に機敏に動いてくれるので助かっていました。今や産婦人科においてお産に立ち会う看護師が男性であるのはちょっとまずいのではないかと云う話も出てきていますが、同じ理論で云えば産婦人科医で男性がいる以上は看護師も男性で良いと云わざるを得なくなってしまいますね。しかし分娩台に寝ている女性の廻りを3~4人の男性スタッフが駆けずり廻るようになったら、妊婦さんは気を落ち着けて苦しいお産に没頭できるのでしょうか? 大いに疑問です。
 未だ日本は男女雇用機会均等と云う、急に変わってしまったシステムに慣れきっていないのだと思います。確かに女性タクシードライバーが未だ珍しかった頃、自分がそんなタクシーに乗ると「大丈夫?」と一抹の不安があったことを記憶しています。しかしもう少し時が経ってどんな職種にも女性が違和感なく進出し、そしてその責務を果たすようになってくれば、私が今まだ感じている違和感は次第に薄れていくのでしょう。出産に関して、育児に関して、未だ若干の心配はありますが、いずれはどんな世界にも女性が進出してくるでしょう。ただ、夜お酒を飲むときの話相手は女性が良いと思いますけれどね.......。