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カリスマ教師達

 カリスマとは先導者、指導者と云う意味、新興宗教の教祖はカリスマであり、カリスマ美容師と云う言葉が流行って久しくなります。カリスマ美容師が先導するのは、そこに惜しげもなく金を注ぎ込む女性達なのか? 或いは明日のカリスマ美容師を夢見て修行に励む若き美容師達なのか? そして過日テレビで”カリスマ教師”を特集していました。しかしその教師達は残念ながら中学校や高校の教師ではなく、予備校の教師達。むしろ一般の中学校や高校の教師にカリスマはいないのか? 或いは一般の中学校や高校と異なり、希望すれば誰もが(もちろん選抜試験はあるでしょうけれど)その授業を受けられる予備校に所属するからこそカリスマたる地位にいられるのか? 興味を持ってその番組を見ました。
 今でこそカリスマの称号が与えられますが、今を去る30年近く前、私が高校生や浪人生だった頃にも今のカリスマ教師たる先生が数多くいらっしゃいました。人気のある先生の授業の教室はいつも満席状態、今のような座り心地の良い椅子ではなく、一枚板に背もたれすらない椅子にギュウ詰めにされ、遅れて入り込んでくる奴にイヤな顔をし、時に立ち見まで出て予備校の職員が受講票をチェックするなんて場面がよくありました。私が当時お気に入りだったのは代々木ゼミナールの”前田の物理”。未だご健在かどうか存じ上げませんが、頷いてくれるご同輩もいらっしゃるのではないでしょうか? 確かに高校では苦手だった物理を、自分に解けない問題はないとまで自惚れさせてくれたのはこの先生のお陰でした。
 テレビに出てきた現代のカリスマ教師達も独特のキャラを持ち、確かに生徒を引き込む魅力を持っているように私には見えました。とても教師には見えない人あり、美人女性あり。その人気に比例して彼等が得る収入もかなりのもの、豪邸に住み高性能のスポーツカーを乗り回す先生もいました。しかし一昔前のやはりカリスマたる先生が今や引退して話をされていたことがちょっと気になります。この先生は自分の仕事の将来を悲観して別の仕事を始めたとか。
 西暦2007年には少子化に伴い大学の定員と18歳人口が平衡状態になるとのこと、つまり選り好みをしなければ誰もが大学に行ける時代、そしてその後は定員割れとなる大学も出てくることになり、名門たる早稲田、慶応も生き残りをかけて改革に取り組んでいると聞いたことがあります。そして今カリスマ教師達が所属する予備校でも、大学に楽に入れるようになると職を失う可能性がある? そのかつての有名な先生はそう考えたようです。私が二十歳だったその当時から女子大生パブなるもの(現役の女子大生がアルバイトで接客する飲み屋さん)が出現し、それを苦々しく思った評論家が、”女子大生がホステスをやっているのではなく、ホステスも大学に行く時代になった”と酷評していたのを憶えています。今や大学の価値とは何か? レジャーランドと云いきる人もいるようです。確かに大卒でありながら、社会に適応できない未熟な人間が増えてきたことも私自身実感することがあります。むしろ大学よりも手に職を付ける専門学校の方が就職に有利との声も聞こえてきます。医学部なんざ正に大学ではなく、専門学校そのもの? 医学部を卒業して医師免許を取ることが出来なければ潰しも効かず何の仕事も出来ない訳ですから。
 しかし上昇志向のある学生がいるうちはこのような予備校産業も決して衰えないのではないか? と云うのが私の意見です。魅力のない大学は学生が集まらず陶太され、魅力のある大学に入る為には予備校で足踏みして苦労してもそれを目指し学生達は頑張り続ける、それこそが理想だとは思いますけれど。大学も生き残りのために社会人に対しても門戸を開き、そしてより魅力のある講義をするために切磋琢磨する、結構なことではないですか? 私自身も学生に教える身、カリスマとは行かないまでも、学生を引き込むような講義をしていきたいと考えています。そして是非私も声を大にして皆さんに誘いかけたいと思います。勉強しましょうよ!