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イスラム対キリスト

 アメリカがイラクを攻撃する? かなり具体的な計画が進んでいると報道されています。アーミテージ米国国務副長官が来日し、日本にも協力を要請しに来たおり、米国の連盟国たる身分と日本国の憲法の狭間に置かれ今後の日本はどうすれば良いのか、そしてもし戦争が始まれば大変なことになると懸念しています。また「旗を見せろ。」と云われている日本、僅か1年も経たないうちにそう云われてしまった日本は、自分自身の経済的問題から存亡をかけてバタバタしているうちにどんな旗を掲げるべきかを考える時間すらなかったと云うのが私の印象です。今回のアメリカのイラク攻撃を全面的に支持しているのはイギリスだけ、ヨーロッパからアメリカ寄りの中東諸国まで不支持となる中、もしアメリカが強引に喧嘩をしかけるなら、最悪の場合これはイスラム対キリストの宗教戦争になります。世界の危機に陥ると懸念しています。
 80年の歴史を有する憎しみ、ニューヨークにはInternational Terorrist と書かれたTシャツにブッシュ大統領の顔写真を載せて歩く女性も写し出されていました。イスラム過激派がアメリカを憎む構図には様々な要因があり、この永い歴史を見ていくと、私自身知らないで来たことが山ほどありました。昨年の9.11以降すぐに文芸春秋社から出版された緊急増刊号”これは戦争だ”を読みましたが、その中には今まで思いもつかなかったこと、そしてそれぞれの評論家、ジャーナリストが違う視点からこの事件を見ての評論を読むと、とても一筋縄ではいかない複雑な事情が私自身の頭の中で整理出来ないくらい絡み合っていました。もちろん許されるはずのないテロ行為も、アメリカのテロ(イスラム側はそう呼ぶ)に対する報復との位置づけをしています。平和的な解決は到底望めないところまで来てしまった? 力を力で抑えようとしてもそれは不可能、それこそゲリラ戦のような泥沼に入り込んでいきます。アルカイーダは壊滅したのではなく分散しただけ? その主犯格の生死すら確認できないような状態、そしてその主犯がいなくなっても第2、第3のリーダーが出てくるとも云われています。今悪の枢軸を殲滅にかかろうとしているアメリカもよほど慎重な行動をとらないと、結局孤立して数多くの敵を作る結果になりかねません。
 セクハラ疑惑の眼をそらせるために攻撃を仕掛けたとされるクリントン大統領、今もチェイニーやラムズフェルドが軍需産業と繋がっているために戦争を仕掛けようとしている、アメリカは9.11のテロを事前に察知していたにも関わらず、戦争を仕掛けるために黙認した(これでは第二次大戦開戦の原因となった真珠湾攻撃とまるで同じです)等、到底聞き捨てならぬ噂も立っています。前回のアルカイーダ掃討時と異なり、ブッシュ大統領はイラクが大量破壊兵器を開発していると云う確たる証拠を示す必要があると考えます。狭間に置かれた日本の立場も苦しいものです。おいそれ反対の旗を見せるわけには行かない事情も充分理解出来ます。
 宗教とは自らを幸福に導かせるための心のよりどころ、しかし自分の存続のために他人を傷つけ、そして命をも奪うような教えは宗教とは云えないと考えます。自らが選ばれた人間であり、排他的な考え方をする教えがあるようですが、これは宗教の教えではなく、それを恣意的にねじ曲げて解釈した、そして更にそれを後進に強要してきたごく一部の人間の罪であると考えます。しかしそれはまた同時に私如きが1編のコラムに簡単にまとめ上げることなんか到底出来ない複雑な内容、人類の誰もが平和を望む中で、被害に遭った当事者の肉親達が更に憎悪を溜め込み悪い方向に走り出すのを見ていて、本当に怖い思いを持っています。しかし人間は地球を破壊してしまうほど愚かではないはず、人間の知性を信じたいと云われていた私の先輩医師の言葉を私の方こそ信じたい気持ちでいっぱいです。