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フリーター亡国論

 今や完全に市民権を獲得してきたフリーター、ものの本によると全国でフリーターの数は400万人とも云われています。かつては格好いいとされていたフリーターも、時代の変化とともに望まなくてもフリーターにならざるを得なくなり、しかも脱フリーターが難しくなってきているのが現状のようです。決して若者は働きたくないのではなく、社会構造の変化がそれを余儀なくさせているとのこと。今やフリーターから脱したいと云う若者も増加し、そして彼等の希望がなかなか叶わないのも事実です。フリーターの期間の経験、スキルは通常再就職の際の良い判断材料にはならいようです。特殊な例ではフリーターをしている間に得た技術を再就職の時に生かせる例も僅かながらあるようですが、大半はあまり雇い主側から良い目では見られないようですね。
 只でさえ厳しい雇用情勢、大企業も正社員として社員を抱え込むよりも、パートタイマーとして必要なマンパワーを保持し、そして自分が傾けば気軽に解雇出来る方が気が楽なようです。もうとっくに終身雇用の神話は崩れ、正社員ですらいつ首を切られないかも知れないと云う不安に怯える社会、到底フリーターが楽に仕事にありつけるとは思えません。当院の患者さんの中でもフリーターをしていると答える若者が増えています。神経性胃炎やストレス性の胃・十二指腸潰瘍などを疑うとき、或いは自律神経失調症を疑うとき、問診の中でどんな職業に就いているのか、そしてその仕事に満足し、ストレスなくこなしているかどうかと云うことも診断、治療の上で重要な情報となります。リストラをされた人、自分の会社が倒産してしまった人も患者さんの中にいらっしゃいます。更に当院への通院すら経済的に厳しいとまで云われる患者さんがいます。ましてや福祉がドンドン切り捨てられ、患者さんが強いられる負担も増加している中での出来事ですから。そしてその後無事再就職できたか、新たな職場に慣れたか、長続きしそうかと云うこともやはり治療の上で大きな意味を持ってきます。
 フリーターがドンドン増え、若者が知識や技術を身につけないまま自ら転職したり、或いは転職を余儀なくされることは、社会的にも国の大きな損失になると考えます。特に資源のない、穴を掘れば石油が噴き出してあとは働かなくても収入が得られる国とは違い、技術革新やものづくりで成長してきた日本にとって今の状況は、成長を妨げる大きな原因となり、そう遠くない将来に少なからぬ影響を与えるはずです。一部語学教育や専門学校の学費に関して国が補助をするようなシステムが動いてはいますが、まだまだ不充分だと云わざるを得ません。それこそ駅前にホームレスがダンボールを重ねて仕事をしないで暮らしていくことも、国にとっては大きな社会的損失になると思います。だから今はデフレ対策と雇用の確保が大事なのです。しかし日本のリーダーは不良債権処理の問題しか目が向いていないようです。それもハードランディングを伴う、国民に痛みを強要するようなことばかり。ホントに今のリーダー達を私達国民が選んだことになっているのでしょうか?
 ただ働く若者達にもしっかりして欲しいと思います。今でも何とかすれば脱フリーターを実現できる可能性がないわけではありません。万引き犯を追いかけて不幸にも刺された店長も、学生時代のアルバイトからその仕事ぶりを評価され、今の地位に就いたと聞いています。フリーター時代に身につけた技術を武器に正社員に迎えられた若者の話も数多く聞いています。その一方で転々と職を自ら変えていく若者が多いのも事実です。例えとして適切であるかどうか分かりませんが、私が女の子のいるお店に飲みに行くとき、結局親しくなって店が変われば頼まれてその新しい店に出向くことはありますが、あまり転々と店が変わる子には結局Mailの返事を出さなくなります。冷たいようですが、長続きしない子には例え美人であっても魅力を感じなくなります。当院での新規採用の面接でも、履歴書の中で職場を転々としていることが分かると大きなマイナス点になります。やはり最初は我慢をする必要があると思います。当院でも僅か数回の出勤で泣きながら辞めていったスタッフもいますが、永いスタッフは10数年続いています。もちろん雇用主としては永く勤めてくれればそれだけ評価して優遇するわけです。初めから身分不相応な優遇を要求するなんざ論外ではありますが。
 望み薄ではありますが、もし日本の景気が上向き、雇用も消費も良くなれば相対的に、或いは絶対数としてもフリーターの数は減ってくるはずです。むしろかつてはフリーターの数は当時の若者の気質を反映したものだったかも知れませんが、今後は日本の経済的基盤が立ち直ってきたがそうかの一つのパラメーターになると思います。終身雇用が崩れ去った今、もちろんそれに慣れてきた日本人には居心地が良いのかも知れませんが、アメリカの如くより自分を評価してくれるところへ転職するような社会、つまり企業が人間を選ぶのではなく、働き手が自分の力を発揮できるような義業を選ぶような社会に早くなって欲しいと思います。もちろん経営者たる私はそうなれば厳しくなるかも知れませんが、それが本来の姿ではないでしょうか? そうした状況で陶太が進み生き残った企業こそ、消費者に尽くすことが出来る優良な企業、或いは診療所だと云えるのではないかと考えます。フリーターの増加が正に亡国、国を滅ぼすと思います。