NYの仇を東京で
過日女房にかけた生命保険の会社の担当者が年末の挨拶に来ました。この生命保険会社は外資系、都心のあるところにビルを作り、そこに美味しいレストランがたくさんあるので是非遊びに来てくださいとのことでした。ちょっと考え込んでしまいました。別に外資系の会社を否定するわけではないし、ましてや担当者は日本人だし。でも、日本に外資が入ってくること、もしくは日本の会社を外資がバックアップするのは、今不況に喘ぐ日本が復讐されているのではないか? と私は勘ぐってしまいます。
かつての経済大国日本はアメリカの企業をドンドン買収してきました。アメリカの象徴とも云えるロックフェラーセンターまで。この時金にものを云わせて片っ端から買い占めていく日本がアメリカ人から非難を受けたのは記憶に久しくはありません。実は私の知人にもそんな企業買収をとことんやっていた人が複数いました。そんなアメリカのマスコミ報道を見るにつけ、いきなり拳銃で撃たれたりしないだろうか? なんて心配したこともありました。今や立場はまるっきり逆転、銀行にも横文字の名前がつくところが増え、逆に純粋な日本の資本だけの企業を見ると、大丈夫なのか? と心配すらしてしまうような現状です。もともとアメリカは人種のるつぼ、それに対して日本は純血を尊しと考えがちな国民性、むしろアメリカがかつて日本に買収された以上に外資に対してアレルギー反応を起こしてもおかしくないとすら考えてしまいます。”ハゲタカファンド”なんて悪口を云っていますが、為す術もなくアメリカに乗っ取られていく現状に、国は何も出来ないまま失政をくり返し、未だ不況のどん底(イヤ、まだまだ落ちるのかも知れません)から這い出せない母国を本当に懸念しています。
生命保険会社においては、純国産の生保よりも外資系の方がシビアです。私は現在2社の生保の嘱託医をしていますが、それ以外に生保に入っていて入院されたり、或いは亡くなってしまう患者さんからの書類を書くことがあります。そんな中で過去数年に遡ってその患者さんの病歴について問われる書類がここ最近つとに増えてきました。もちろん生保からの依頼の際に同封される依頼状や電話による依頼の際、我々医師に対する態度は極めて丁寧で礼儀正しいものですが、所詮その書類によって被保険者への保険金を査定するのが目的のはず、永年に渡って患者さんの日常診療に携わってきた主治医としては勿論嘘は書けませんが、”保険金は払ってあげてくださいよ”と患者寄りの態度になるのは当然のこと、名目上中立の立場ではありますが、医者とて人間、ましてや自分のところに来てくれる患者さんに対して不利益なことは極力避けたいと考えるのが人情です。特に私はそんな書類を書かされた時には”もしさし支えなければ”と断りをしますが、その保険金がちゃんと患者さんに支払われるようになったか、或いは減額や支払い拒否になったか等の結果を教えて欲しい旨頼んでいます。確かに患者さんの告知義務違反が全くないわけではないですが、胃炎で胃薬を服用していたことを告知しなかったから胃癌の手術に際して保険金が降りないと云うのもあまり納得できない部分ではあります。
損保でも外資系の会社のテレビコマーシャルが増えてきました。私自身は自分の車の保険は可愛がっている後輩を通じて”純国産”の損保に依頼していますが、いろいろ調べてみると掛け金は資本にものを云わせている外資系の方が安そう。しかし本当に事故があった場合、支払いをしてくれるのかどうか? 外資系には聊かの疑いを持たないわけではありません。別に外国を毛嫌いしている訳ではありません。車に関しては自分では国産車を2台買った後は、西ドイツ、アメリカ、イタリアの車を買ってきましたし、服もイタリア、フランス製が好きではあります(女性は国産に限ると偏見を持っているのですが)。むしろ国産の方が信頼出来ると云うものが多い中、かつての舶来品にとって変わられ、国産品はやや値段が高いと云う印象すら持ち始めています。松茸然り、パソコン然り。
今バブルに踊らされた後、日本は”NYの仇を東京で”討たれているような気がしてなりません。ましてや未だアメリカ人を初めとする白人は有色人種に対して偏見を持っている人もいる様子、小金を持ったイエローモンキーなんざ飯の種になってしまうのではないでしょうか? 少なからずこの日本から甘い汁を吸おうと考える外資は山ほどあると思います。そしてそれが過去の日本を良からず思っている外資の外国人は容赦ない締め付けを、復讐も込めて仕掛けてくるのではないかと心配しています。失政をくり返すがためにここまで落ちた日本、来年こそ名誉挽回の糸口だけでも掴んでほしいと心から願っています。