国旗掲揚、国歌斉唱

　かなり夜遅くまで残務整理を頑張った翌日の朝、木曜日で私は朝寝が出来る日、外から聞こえる音楽で午前9時前には目が醒めました。当家の目の前の小学校が秋の運動会の練習をしているようでした。この学校はブラスバンドが盛ん、小学生の演奏する行進曲に寝ぼけ眼の私も段々目が醒め始め、そろそろ起きようか？　などと考えていた矢先、音楽がなり止み先生のマイクの声で一瞬にして覚醒しました。「国旗掲揚！　国歌斉唱！」と云う声で。瞬時に考えました。生徒が怪我をしては当院と深いつき合いになっているこの学校の先生方は国旗掲揚で全員起立するのだろうか？　国歌斉唱で全員君が代を歌うのか？　って。
　最近公立学校の行事で国旗掲揚、国歌斉唱の最中、起立をしなかった先生方（恐らく君が代も歌ってはいないだろう）が不当な扱いを受けたと提訴しました。その不当な扱いというのも定年退職後の世話をしないと云う陰湿なもの、非国民には仕事も給料も出さないとのことなのでしょうか？　その先生方のふるまいについて識者の意見は割れています。しかしこれだけは云えるのではないでしょうか？　日本と云う国には崇拝するに当たる価値がないと判断する人が増えてきているのだと。かつては傍若無人で、今はどっちつかずで、確たる宗教も持たず（坊主が指を舐めながら札束を数えているご時世ですから）、金だけ出して血と汗を流さず、軍事大国に戻る懸念があって、No!　と毅然と云える度胸もなくて、そしてウンコが臭くて、世界の嫌われ者たる日本はだんだん自らの国民にも恋心を失われ始めているのでしょう。老後はとてもじゃないけれどこんな国では過ごせません。だからテレビでも海外移住を唆すような番組が多く放映されるようになりました。もう痛みに耐えるのも限界ではないのでしょうか？　無能で丸投げのリーダーシップは国力を削ぎ落としています。
　芸術的な評価は非常に低いこの君が世、アメリカ国歌が長調で華やかな雰囲気を持つ親しみやすいメロディであるのに対して短調の如何にも暗いこの日本国歌、かつて若い頃の私はこの君が代の君とは自分の家族であり、恋人のことだと思っていました。しかしどうやらこの君とは天皇陛下、オリンピックでせっかく日本選手が金メダルを取っても、表彰台の上へ流れる君が代は何となく格好悪いなぁなどと、日本人として申し訳ないながらも考えました。アメリカ国歌を胸に手を当て、表彰台で聞いている金メダリストは自由の国アメリカの国民のために頑張ってきた、そしてそれが結実したと云う羨望の目で見ているのに対し、日本の金メダリストは天皇のために今まで頑張ってきた？　そんな錯覚にも囚われる私です。ましてや汚い政治屋どもが私利私欲のために闊歩する国ですから。おめ～、領収書くらい切ったらどうだ（歯科医師会から一億円の小切手を受け取って領収書を出さなかった総理大臣の話です）？
　一方でもっと国と云うものが主体であった時代、つまり昭和20年代には大本営の嘘の発表に踊らされ、挙げ句の果ピカドンを落とされて無条件降伏、味噌汁を飲んでいるから、神国だから、そんな理由で戦争には負けないと云われ続けてきたかつての日本人が本当に不憫です。今ではそんな天皇陛下が外圧に負けて自ら象徴であると言わしめられ、国のためにと命を捧げてきた10代、20代の人達は何と考えるのだろうか？　
　人種のるつぼと化したアメリカの方がやはり自由でより人間らしい生き方が出来るのか？　最近はアメリカも嫌われて来ました。テロの再発に怯え、オレンジ色のランプがついたまま。いつになったらグレープフルーツが食べられる？　このコラムでの私の結論です。国や社会は成熟しすぎると住み難くなる、生きていくのが大変になる。だから成熟していない、住み易いところに逃げるしかない！　そんなところではないでしょうか？

　エッ？　私？　もちろん起立もしますし国家も歌いますよ。そんなことでいざこざ起こしたくはないから。飯を食うためには椅子から立つくらいしますし、歌ぐらい歌いますよ。でも前にも書いたように、家族のためなら死にますけれどこの腐った国のためには死ねませんよ。昔なら非国民と云われただろうけれど........。